新「iPad Pro」を試して判明した驚異の実力 もはやパソコン超えか本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/5 ページ)

» 2018年11月06日 08時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

「画面の大きなスマートフォン」からの卒業

 初代iPadが登場したのは2010年のこと。1月に発表、4月に販売が開始されると、あっという間に世の中に広がっていった。筆者も海外在住の知人に購入してもらい、成田空港まで受け取りに行った思い出がある。

iPad 2010年に発表された初代の「iPad」

 その後、5月に日本でも発売になるが、その後はあっという間に市場に浸透し、Androidタブレットなどのフォロワーを産みながら急速に普及が進んだ。当初のiPad、それに続くタブレットは、当時クラウドへとさまざまなサービス、コンテンツが流れ込んでいく中で、最も手軽にそれらを楽しむための道具だった。

 当時スティーブ・ジョブズ氏が、性能は低いが価格が安くコンパクトなWindows PCである「Netbook」が世のトレンドなのではなく「正解はこちら」と紹介したことが思い出される。そのスタート地点は「画面の大きなiPhone」というのが当時の率直な印象だったが、クラウドにさまざまなコンテンツが集まる中、過去に例がないほどの速度で普及したことは皆さんご存じの通りだろう。

 ところが、グローバルのタブレット市場は5年ほど前に頭打ちが始まり、近年はむしろ出荷数が減っている状況だった。iPadは必ずしも不調ではなかったが、成長にかげりが見え始めたころに、教育市場や特定業務向けへのiPadの応用を積極的に推し進めたり、あるいは今回発表されたiPad Proのように、メディアプレーヤーとしての性格よりもクリエイティブツール、仕事のための道具としての進化を目指したりするようになった。

iPad Pro 「クリエイティビティ」に振った初のiPad Proは2015年に登場

 スプリットウィンドウや、異なるウィンドウ間のドラッグ&ドロップなどの操作シナリオは、まだ完全にiOSアプリに浸透しきってはいない。しかし、基本となるiOSの改良を重ねてきた上で、今回の新しいiPad Proが投入されてきたことで、iPad向けアプリの開発者コミュニティーが刺激されれば、時代は大きく変化するかもしれない。

「大多数のモバイルパソコンよりもパワフル」は本当か?

 このように、メディアプレーヤー、コンテンツプレーヤーとしてのタブレットを、根本的な構成から見直して、パーソナルコンピュータへとその性格を変えてきたiPad Proだが、変化したのは製品全体の構成やiOSだけではない。ハードウェアも進化し、極めてパワフルなものになってきた。

 ここでいう「パワフル」には、もちろんプロセッサの能力という意味もあるが、ハードウェア各部が、もはや一般的なパソコンでは太刀打ちできない品質になっている。

 まずディスプレイだ。11型、12.9型、それぞれサイズの違いこそあれ、264ppiの画素密度があるが、同時にDisplay P3の広色域と、最大600nitsの輝度が与えられている。MacBookファミリーでいえば、Display P3には「MacBook Pro」しか対応しておらず、輝度に至っては500nitsまで。さらに、Apple Pencilの使用感を高めるため、120Hzのリフレッシュレートで更新する「ProMotionテクノロジー」も組み込まれている。

 防指紋、防汚を目的とした発油コーティングなど、タッチパネルならではの要素も含め、ディスプレイの品質や機能に込められた技術は圧倒的だ。当然、フルラミネーション行程で生産されているため、タッチパネル封入やカバーガラスなどによるコントラスト低下もほとんど体感できない。

iPad Pro 高画素密度、高色域、高輝度の液晶ディスプレイ(AppleはLiquid Retinaディスプレイと呼ぶ)。Apple Pencilの使用感を高めるため、120Hzのリフレッシュレートで更新する「ProMotionテクノロジー」も搭載する

 4チャンネルのスピーカーユニットを駆使した音質も、15.4型のMacBook Proを別にすれば、(再生帯域はともかく)iPadの方がより優れた音場を再現してくれる。新しいiPad Proは、上下左右どの方向のベゼルも同じ幅だ。どこに向けても正しくステレオ音声が聞こえてくるのは以前のモデルと同様である。

 内蔵される2つのカメラは、いずれも「iPhone XR」とほぼ同じもの。「スマートHDR」や「ポートレートモード」などの機能、画質も同様で、Display P3に対応した広色域の写真を撮影でき、品質の高いディスプレイとのカラーマッチングも抜群だ。4K動画(30fps、60fps)やスローモーション(1080p/120fps、720p/240fps)など、動画撮影の機能に関してもiPhone XRに近い。

 なお、iPhone Xの要素という意味では、画面をタッチしてロック画面を呼び出す「Tap to Wake」にも、この新しいiPad Proから対応している。ただし、指でタップした際の振る舞いはiPhoneに準じているが、Apple Pencilでタップすると自動的にメモが起動し、そのままApple Pencilでメモを取ることができるという仕掛けが施されていた。

 5個のマイクを用いるマルチマイクは、ノイズキャンセリング機能だけでなく、ステレオでの音声収録もサポートしている上、GPSとデジタルコンパスを内蔵し、Wi-Fi + Cellularモデルならば単体でのLTE通信が可能だ。

 内蔵するSoCのパフォーマンスうんぬんの前に、モバイルパソコンとiPad Proの間にある違いを列記してみると、品質にかなりの大きな差があることが認識できるだろう。ノートパソコンの中でも、ディスプレイ品質の高さにこだわったMacBookファミリーを基準に比較したが、安価なノートパソコンであれば、そもそもこうした細かな規格への対応も曖昧で比較にもならない。

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