「CES 2020」に合わせて、NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が米国市場に進出することを明らかにした。
日本国内のPC市場においてトップシェアにあるNECPCは、かつて米国市場に挑戦し、事実上撤退した過去もある。なぜこのタイミングで米国市場に再挑戦するのか。
米ラスベガスで行われたグループインタビューで、デビット・ベネット社長に米国再挑戦の背景を聞いた。
NECPCが米国においてPCを販売すること自体は、先述の通り初めてのことではない。
同社のルーツであるNEC(日本電気)はかつて、米国でPC/AT互換機を販売していた。NECは1995年、当時は米国のPCメーカーだったPackard Bell(パッカードベル)に出資し、翌1996年にNECの海外PC事業を統合して社名を「Packard Bell NEC」に改めた。しかし、Packard Bell NECは2000年に米国でのPC事業から撤退し、紆余(うよ)曲折を経て、現在は台湾Acerが一部地域で展開するPCブランドの1つとなっている(参考リンク)。
現在のNECPCも、「2015 International CES」において、現在の親会社であるLenovoのプライベートブースに軽量モバイルノートPC「LaVie Z」を展示した過去がある。
このLaVie Zは13.3型で約779gという驚異的な軽さが話題となり、数々のアワードを受賞するなど注目を浴びた。その後、LaVie Zは「Lenovo LaVie Z」として米国でパイロット(試験)販売されることになる。
NECPCによると、Lenovo LaVie Zは当初の販売目標を達成したという。しかしその後、LaVie Zの後継商品である「LAVIE Hybrid ZERO」や、その他NECPCの製品が米国で販売されることはなかった。
しかし2020年、NECPCは米国市場への再挑戦を表明した。それはなぜなのか。ベネット社長は「世界のPC市場の状況が変わってきた」ことを理由に挙げる。
例えば米国では、ノートPCは「軽さ」よりも「薄さ」が評価されてきたという。自動車での移動がメインなので、重量がそれほど重要視されないのだ。極端な言い方をすれば「薄ければ重くても構わない」といった所だろう。
しかし近年、ノートPCの薄型化は限界に達しつつある。そのため、以前と比べると重量も重視されるようになってきた。日本でも話題の「働き方改革」は世界的な広まりを見せており、高価格帯のプレミアムノートPCが人気を集めている。ある意味で、市場環境が「日本並み」になってきたのだとベネット氏は語る。
2015年にLaVie Zをパイロット販売した際は、海外から「もっと重くしてくれ」とか「デザインを良くしてほしい」といった不満の声が寄せられたという。軽量化を追求するあまりに、当時のモデルはヒンジがむき出しになるなどデザイン性を犠牲にする面もあった。高価格に見合う「高級感」や「重量感」を備えないことも、嫌忌されたという。
今回、NECPCが米国市場で発売するLAVIE Pro Mobileは、13.3型で約837gという軽量性を維持しつつ、デザイン性も高めている。キーボード回りには心地良い手触りのコーティングやCNC加工を施し、モダンな雰囲気をまとっている。もちろん、米国での販売を想定してキーアサインは米国英語(US)仕様となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.