インタビュー
» 2009年05月23日 20時21分 UPDATE

世界市場の実績が“世界初、日本初”のAndroidケータイにつながった――HTCのデビッド・コウ氏 (1/2)

日本初のAndroidケータイ「HT-03A」を、ドコモ向けに提供した台湾メーカーのHTC。スマートフォン市場で大きな存在感を示している同社の日本市場における戦略について、日本法人代表取締役社長のデビッド・コウ氏に聞いた。

[日高彰,ITmedia]

 NTTドコモが日本初のAndroidプラットフォーム採用スマートフォン「HT-03A」を発表した。開発したのは、世界初のAndroid携帯「T-Mobile G1」を開発した台湾のHTCで、HT-03Aも同社のAndroid携帯第2弾「HTC Magic」をベースにしている。

 日本法人代表取締役社長のデビッド・コウ氏に、これまで同社が採用してきたWindows MobileAndroidとの違い、そして今後の日本市場戦略について聞いた。

Androidは、Windows Mobileを補完する非常によいOS

Photo HTC製のAndroidケータイ「HT-03A」を掲げるドコモの山田隆持社長

ITmedia(聞き手:日高彰) NTTドコモの製品発表会では、初のAndroid搭載機種ということでHT-03Aへの反響が非常に大きなものでした。ここまで大きな話題になると想像していたのでしょうか。

デビッド・コウ氏 予想以上の反応でした。ドコモの山田社長がポケットからHT-03Aを取り出した瞬間の、報道陣のカメラのフラッシュの数を見ても、ほかの端末に比べて大変な注目を集めていたことがお分かりいただけると思います。私もその注目度に圧倒されています。

ITmedia HTCは長らくWindows Mobile搭載製品を手がけてきたわけですが、なぜAndroidを採用しようと考えたのでしょうか。

コウ氏 我々が初めてAndroidを見たとき、これはWindows Mobileを補完する非常によいOSであり、我々にとって良いチャンスになる、そして、Androidを採用することでキャリアやエンドユーザーにとって良い製品を提供できると確信しました。HTCでは常に最新の技術を取り入れることに注力しており、もともと、特定のプラットフォームだけをサポートするという戦略ではありません。これまではたまたまWindows Mobileに特化していたということになります。

ITmedia Androidのどのような点が魅力的だったのでしょうか。

コウ氏 モバイルGoogleを利用するにあたって、非常に優れたユーザー体験をもたらしてくれるのが最大の利点です。また、従来のWindows Mobileになかったアプリのマーケットもあります。もちろん、今後はWindows MobileにもMarketplaceが用意されますが。

ITmedia HT-03Aの想定ユーザー層は、これまでのWindow Mobileユーザーとは異なるのでしょうか。

コウ氏 どちらも同じような層のユーザーが集まると思いますが、個人によって好みの違いがありますので、それに応じて選ぶことになると思います。

ITmedia 例えば、Windows MobileではOfficeアプリケーションとの親和性や、会社のメールアカウントがそのまま使えるといったビジネスシーンでのメリットが強調されることが多いと思いますが、今回のHT-03Aはそれほどビジネスユースはアピールされていないようにも思います。

コウ氏 今回、ドコモはHT-03Aを「PROシリーズ」の製品に位置づけています。製品発表会で上映された映像では、ビジネスユーザーがエンタテインメントにも使っているといったストーリーでこの機種が紹介されていました。ビジネス、エンタテインメントの両方で、Windows MobileにもAndroidにもそれぞれの機能があります。その意味でもやはり、どちらを選ぶかはユーザーの好みによるのではないでしょうか。

sa_ht01.jpgPhoto PROシリーズの端末として登場するAndroidケータイ「HT-03A」

HTCが独自開発した機能は

Photo HTC 代表取締役社長のデビッド・コウ氏

ITmedia Android携帯を発売しているのがまだHTCだけなので分かりにくいのですが、どこまでがプラットフォームとして備えている機能で、どこからがメーカーによる差別化ポイントなのでしょうか。例えば、地磁気センサーのような機能は独自の部分だと思いますが。

コウ氏 地磁気センサーについては「HT-01A」「HT-02A」で既に実装されているHTCのフィーチャーですね。HT-03Aについては、端的にいうと「HTCとGoogleの共同開発」ということになります。

ITmedia 共同開発の成果は、Androidプラットフォーム自体に還元され、ほかの参入メーカーにとってもメリットになりますか。

コウ氏 その通りです。

ITmedia 今後多くの競合他社がAndroid搭載デバイスを出してくると思いますが、他社の製品に対する優位性はどういった点で確保していくのでしょうか。

コウ氏 当社に追従する形で多くのベンダーがAndroidベースのデバイスを開発するのはとても良いことだと思いますし、歓迎しています。当社はすでに次世代の端末を開発しており、今後もグローバルでスマートフォン市場のリーダーであり続けることを目指しています。

ITmedia リーダーシップをとり続けるための、他社にない“HTCならでは”の優位性は、どのような部分になるのでしょうか。

コウ氏 HTCは12年前に設立されましたが、そのときにはほかに誰もWindows Mobileを採用したスマートフォンを作っておらず、ほぼ我々1社だけだったわけです。いまや景気後退で世界の市場が縮小しており、端末の販売台数が減っていると言われていますが、スマートフォンだけは販売が拡大しています。

 その中で、ほかの携帯電話ベンダーもスマートフォンに参入する意向を示すようになってきました。これは、我々が当初からスマートフォンで事業を立ち上げたという判断が正しかったことの裏付けだと思います。ですから、当社は極めて長期的な視点に立った、正しいビジョンを持っているということが言えると思います。

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