財布の中や机の引き出しの奥深く。使い切らなかったテレホンカードの1枚や2枚が眠っているはずだ。携帯電話がこれだけ普及した現在、公衆電話の数は急速に減っている。
NTT東日本が発表している資料によると、5年前の2002年3月末には全国で約63万台あったテレホンカードが利用できる公衆電話の台数は、2006年3月末には39万台に減少。テレホンカード自体の販売枚数も、5年前の5377万枚から1804万枚まで減った。逆に、未だに年間1000万枚も販売されているほうが意外かもしれない。
この使わなくなったテレホンカード、いったい何に活用できるのだろうか。
よく知られているのは、NTTの固定電話の通話料支払いに利用するという方法だ。未使用のテレカに限られる上、1枚につき52.5円の手数料がかかるが、NTTの窓口で固定電話通話料として支払える。通話料金よりもテレカ分が多ければ繰り越しも可能だ。
ただし支払えるのは通話料で、基本料はダメ。つまりADSL+IPフォンやFTTHを使った電話サービス、また最近増えている“家には固定電話を引かない”といった環境の人にはあまり意味がない。一応、2月26日からは、NTTの「ひかり電話オフィスタイプ」の通話料支払いにもテレホンカードが使えるようになったのは朗報かもしれない。
テレホンカードのそのほかの使い道はないのか。オークションサイトをのぞいてみると「テレホンカード」コーナーなるものが存在した。そこには実に6万7700枚におよぶテレホンカードが出品されている(3月29日現在)。
もちろんキャラクターものやゲーム、スポーツ、映画、人物など、何かしら特徴のある絵柄のカードが多いが、中には絵柄的な特徴もなく“とにかくテレホンカード”というような出品も目に付く。プレミアが付いて購入価格よりも高くなるとは限らないが、眠らせておくよりもいいのは間違いない。手持ちのテレカも、実は意外と高値が付くのかもしれない。
さらにほかの使い道はないのものか。調べてみると、一部のホテルでは、宿泊料金にテレホンカードが使えるのだ。
全国ホテルチェーンの東横インでは、テレホンカードだけでなくビール券や図書券も宿泊代の支払いに利用できる。テレカのサービス分(1000円のテレカは105度数あるが、この50円分)は含まれないとか、利用できるのは1回につき2枚までなどの制限があるが、意外な使い道だ。
広島県にある「福山ニューキャッスル」でもテレホンカードでの支払いが可能だ。未使用テレホンカードが対象で、残度数の80%での計算となるが、こちらも便利。
ここまでの利用法は、未使用のテレホンカードが対象。ちょっとでも使ってしまったものの活用法はないものか。
実はこれだけ携帯が普及しても、“携帯が使えない場所”ではまだまだ公衆電話の需要は大きい。たとえば携帯の電波が届かない山間部では、テレホンカードを持っているだけで意外なときに役立つ。アウトドア用のバックパックの中に使いかけのテレホンカードを入れておくとよい。
都心でも携帯が使えない場所はある。代表的なのは病院だ。入院している患者には、案外テレホンカードが喜ばれるのだという。
IPフォンや携帯電話をバリバリ使っている人も、実はテレホンカードならではの活用法が残っている。「0120」や「0570」など一部の番号は携帯電話やIPフォンから利用できない場合があるのだ。こうしたときにテレホンカードなら確実にかけることができる。携帯電話メインの人でも、イザというときのためにしのばせておくといい。
さらに使い切ってしまったテレホンカードでも使い道はある。性と生殖に関する健康と権利分野の国際協力を推進するNGO「ジョイセフ」では、使用済みテレホンカードの収集を行っている。
収集されたテレカはプリペイドカード取扱業者に買い取られ、その資金が途上国への医薬品などに充てられるという。使用済みのプリペイドカード1枚が駆虫薬3錠に、4枚が生まれたての赤ん坊のへその緒を安全に切るカミソリに、5枚が料理実習に使うカップ1個になるといった例が挙げられている。
ほかにもいくつかのボランティア団体が使用済みテレホンカードの収集を行っている。今は使わなくなったテレホンカード、眠らせておかず、はたまたゴミにするのでもなく、こうした方法で活用してみてはいかがだろうか。
使えるところ | 内容 |
---|---|
NTT通話料 | 未使用テレカを使用 |
オークション | テレカを販売 |
ホテルの宿泊料 | テレカを充当できる |
病院やアウトドア | 携帯電話が使えない場所で電話する |
チャリティ | 1枚が駆虫薬3錠に |
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