2010年に向け棚卸し(前編) ヒストリー分析研修に行ってこい!

依然として先行きが不透明な中で迎える2010年。わたしたちは何を目標に、どう進んでいけばよいのでしょうか。今回は自らの進むべき道を見つけ出すためのヒントとして「ヒストリー分析」をご紹介します。

» 2009年12月24日 12時00分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]

 多くの人が2008年秋の金融危機の影響を受け、そのまま2009年も終わろうとしています。依然として先行きが不透明な中で迎える2010年。さて、わたしたちは何を目標に、どう進んでいけばよいのでしょうか。政治や経済、会社からもその方向性をつかめない人も多いかもしれません。

 今回と次回は、政治、経済、会社といった外部要因に左右されず、自らの進むべき道を見つけ出すためのヒントをご紹介します。

価値とは何かを考える

 わたしたちは日常的に、“消費者”の立場で商品やサービスを選択し、利用しています。さて、その際にどのような価値基準を持って商品やサービスを選択しているでしょうか? 次の図をご覧ください。

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 あなたは支払う費用と得られる価値をはかりにかけた時、商品やサービスをどうやって決めますか? 普段は無意識に行っている商品やサービスの選択の意思決定基準を明確にしてみてください。

「なぜ」という視点の大事さ

 簡単な例で考えていきましょう。ある地域にコンビニエンスストアが5店近接して立地していたとします。あなたなら何をポイントにコンビニエンスストアを選ぶでしょうか? 以下の選択肢から近いものを選んでみてください。

  1. そのチェーンそのものが好きだから
  2. 一番近いから
  3. そこにしかない商品があるから
  4. ポイントがたまるから
  5. 雰囲気が好きだから
  6. 接客がスピーディーだから
  7. 店員が顔見知りだから
  8. それ以外の理由

 など、1〜8で分類してみたところで、さらにもう一歩進んで考えてみます。1〜8を、

  • a. その会社だけでしかできないこと
  • b. 誰かが会社に提案し、多くのメリットが得られそうであれば、できること
  • c. 誰かが取り組みさえすればできること

 の3つに分類してみます。

 さて、いかがでしょうか。改めて考えてみると、“その会社だけでしか”という領域は、(a)以外ほとんどないのではないでしょうか?

 普段は無意識に選択している価値ですが、「なぜ?」と考えていくと、人がその商品やサービスに対価を払うのには、何かしらの理由が伴うことが再確認できます。そして、会社の価値を引き上げているのは、個人個人の取り組みであることが分かります。

 しかし組織の中で、指示の範囲や担当領域以外のことに取り組むことに、抵抗があるかもしれません。そこでまずは、自分以外の人にプラスαで提供できる自分自身の価値について考えるノウハウをご紹介します。

ヒストリー分析とは?

 「ヒストリー分析」をご存じでしょうか? この分析手法は、企業であれば経営戦略の立案に、個人であれば今後のキャリアビジョンを描くために活用するものです。研修では、キャリア開発研修などのワークに取り入れられています。

 今回は自分の価値を引き出すために、この分析手法を活用してみます。一般的な手法にアレンジを加えていますので、ご了承ください。

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 書き方は簡単です。まず縦の軸に、生まれてから現在までの西暦を入れます。来年30歳であれば、1980年がスタートになります。その年ごとの横軸に、保育園や幼稚園などから通った場所を記入します。後は項目に合わせて記載してください。

 項目欄は設けていませんが、学生時代のコンクールや、もらった賞など、どんな小さなことでも記載してください。また、項目が足りないようでしたら付け加えましょう。

 記入が終わったら、一度その場から離れてリフレッシュします。そして、リフレッシュが終わったら、第三者であるキャリアコンサルタントになったつもりで、自分のヒストリーを見てみてください。

 その時の視点は、

  1. その人が時間を忘れて没頭してきたこと
  2. その人が他の人よりもより多くの時間を使ってきたこと
  3. 他者から“ほめられたこと”や、“楽しい”と感じてきたこと(客観視できるようであれば“注意を受けたこと”や“つらい”と感じてきたことも)

 に着目して、色を付けるなど、自分で見た時に分かるようにしておいてください。今回はここまでを棚卸ししてください。

 いかがでしょうか? 小さなころのことなど、忘れていることもありますよね。年末や年始は、日ごろ会わない知人、友人、家族、親戚に会うことも多くなります。周囲の人の記憶にある自分自身の印象や、思い出となる出来事などを聞いてみる絶好のタイミングです。自分のヒストリーを充実させるためにも、周囲の人の話を是非役立ててみてくださいね。

 次回は、このヒストリーを仕事に関連させ、周囲にプラスαの価値を提供するための方法をご紹介します。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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