フレームワーク(枠組み)を上手に活用することで、仕事の効率と成果を格段にアップできる――4文字英語の最強フレームワークを5回に渡ってご紹介します。
今回紹介する最強フレームワークは、『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋しています。
「4文字英語で最強フレームワーク」2回目は、マクロな外部環境を分析するためのフレームワーク「PEST分析」について解説します。
事業の見通しを検討する際には、常に自社内の状況と外部環境を頭に入れておかないとダメです。中でもマクロな外部環境は、市場全体の変化に大きく影響を及ぼします。PEST分析は、そんなマクロな外部環境分析をするためのフレームワークです。
PESTは、マクロな変動要因である、政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字をとったものです。PEST分析で重要なのは、こうしたマクロ変動要因が自社のビジネスにどのような影響を与えるのかを把握することにあります。
政治的要因には政権交代、政府の方針転換、業界法の改正、規制の強化や緩和、外交問題の変化などが含まれます。例えば、人材派遣法の改正により、従来は派遣が禁止されていた職種が認可されると、大きなビジネスチャンスになります。
経済的要因には、世の中の景気動向、物価の変動、GDP成長率、失業率、鉱工業生産指数、住宅着工数などさまざまな経済指標や今後の見通しが入ります。例えば景気に大きく左右される広告業界などは、景気後退局面では、クライアントの予算が大きく減り、企業業績に厳しい風が吹きます。
社会的要因には、人口動態、文化、教育制度、ライフスタイルやものの考え方の変化などが含まれます。例えば、子どもが減り、高齢者が増えることで、学校経営が苦しくなる一方、老人ホームや介護ビジネスが伸びます。
技術的要因には、新技術の誕生、普及による市場の変化が含まれます。革新的な技術は大きな新しい市場を生む一方で、既存の市場を破壊することも多いのです。例えばインターネットの普及によって、ネット広告市場が拡大する一方で、新聞や雑誌など既存メディアの広告売上が減っていくという現象もその1例です。
政治的要因 Politics | ・派遣法改正による免許取得の緩和 ・派遣可能な職種の広がり ・非正社員への福利厚生保護の強化 |
経済的要因 Economics | ・景気の減速、企業収益の見通し不透明 ・さらなる雇用の流動化 ・正規社員雇用の見直し |
社会的要因 Society | ・自分に合ったワークスタイルの追求 ・ワークシェアリングなど労働時間の多様化 ・子育て後の復職や男性の育児休業の増加 |
技術的要因 Technology | ・インターネット経由での仕事情報提供がさらに増加 ・携帯利用による超短期就労者の増加 ・ネット利用の在宅希望者の増大 |
PEST分析のポイントは、さまざまなマクロ環境の変化が自社にとって何をもたらすのかを予測することにあります。
同じ環境変化であっても企業によって追い風になる場合と逆風になる場合があります。考えられる要因を洗い出し、そこから将来想定される機会や脅威を予測しましょう。
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