短時間でリッチな資料に――PowerPoint作成がラクチンになるWebサービス：最強フレームワーカーへの道

自分で言うのもなんだが、わたしはPowerPointをかなり使い込んでいる。しかし限りある時間の中で「見た目に割ける時間はそれほどない」人も多いだろう。そんな時はWebサービス「Cacoo」を使ってみるといい。

[永田豊志，Business Media 誠]

　自分で言うのもなんだが、わたしはPowerPointをかなり使い込んでいる。提出書類だけでなく、これまで出してきた数冊の書籍も図解を含め、すべてPowerPointで作成してきた。（※最終的にはデザイナーがInDesignなどの印刷用のソフトで構成し直している）

　PowerPointのオートシェイプ群をいろいろ組み合わせて、一見Photoshopで作成したようなリッチなものも作成できる。ちなみに、下記の画像はそうしたものの1つ。立体的なパーツだ。PowerPointの基本パーツだけを使って、うまく作成しているのが分かるだろうか。

　海外では、社内にPowerPointなどのプレゼンテーション書類を作る専門チームを設置し、高品質なテンプレートやグラフィックパーツを作っている企業もあるという。しかし、みなさんの中には、

　こんなことやってられない！

　と思う人も多いだろう。確かにグラフィックパーツにこだわるのはいいが、限りある時間の中で提案内容、ドキュメント作成を完了させなければならない人にとって、見た目に割ける時間はそれほどない。専門のクリエイターにまかせられれば別だが、残念ながら日本企業で社内に専任のPowerPoint制作者がいることはまれである。

　そんな時に便利なのが「Cacoo」だ。弊社の新人プログラマM女史が見つけてくれたWebサービスなのだが、結構便利でわたしもたびたび利用するようになった。

　Cacooは、オンラインで業務フロー、ネットワーク図、戦略フレームワークなど、PowerPointドキュメントを作る際に必要となる図解パーツのほとんどをカンタンに作れる。アイコンやWebインタフェースのボタンパーツなど、PowerPointにはない高品質の標準パーツが多数そろっている。センスや制作技量に関係なく、ソコソコの図を短時間に作れるのだ（図1参照）。

　もちろん利用料金は無料。アカウントを作ってログインすると、マイページ上に作成した図をどんどん保存でき、第三者とシェアすることも可能だ。

図1

　完成図はPNG形式でエクスポートできる。PowerPointに貼りこむと、きちんと背景部分が抜かれるので、仕上がりがキレイだ（図2、3参照）。

図2

図3

　わたし自身は、プレゼンテーション書類に極力文字情報を排除したものを作るように心がけている。グラフィカルな資料作成は確かに骨の折れる作業ではあるが、短時間に相手の記憶に深く刻むには画像情報が有利だ。画像を処理する右脳は、文字を認識する左脳の100万倍の記憶力があるとも言われている。一目で理解できる、記憶に残りやすい、苦労してでも図解を使いこなすのは、多くのメリットがあるのだ。このあたりの話は、拙著『頭がよくなる「図解思考」の技術』にも詳しく書いてあるので、参考にしてほしい。

　本来であれば、マイクロソフトがグラフィックパーツの充実を図ってほしいところ。折りしもマイクロソフトもクラウドサービス「Windows Azure」をリリースする。さまざまな開発者が、マイクロソフトのソフトウェアプラットフォーム上で、付加サービスを作れるようになれば、超高品質のグラフィックプレゼンテーションのできるクラウドPowerPointも登場するかもしれない。

著者紹介　永田豊志（ながた・とよし）

　知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

　リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

　近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』（いずれもソフトバンククリエイティブ刊）、『頭がよくなる「図解思考」の技術』（中経出版刊）がある。

連絡先： [e-mail]

Webサイト： www.showcase-tv.com