エプソンのドキュメントスキャナ「ES-D200」はScanSnapのライバルに成り得るか(5/5 ページ)

» 2010年08月03日 15時00分 公開
[山口真弘,Business Media 誠]
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まとめ:多くの枚数をセットできるのはメリットだが、重送検知に課題

 以上ざっと見てきたが、一度にセットできる枚数が多い点は大きなメリットだ。解像度の違いや補正オプションの有無によって速度や品質が大きく変動する点は気掛かりだが、本を丸ごと1冊セットできるというのは、最低でも2〜3分割してセットしなくてはいけないScanSnap S1500にはないメリットである。原稿の追加セットの手間が不要なことが、読取時間が長いことを相殺して余りあるというわけだ。この特徴だけをピックアップすれば、電子書籍の「自炊」に向いた製品である――ということになる。

 ただ、今回試用していて、こうしたセット枚数に関するメリット以前に、どうしても気になった点がある。それは「重送を検知せずに見逃したケースが何度かあった」ということだ。ScanSnapであれば、重送、つまり紙の重なりを検知すると、ユーティリティがエラーの発生を表示し、最後に読み取った原稿を表示するとともに、原稿を何枚か戻したうえで続けて読み取るか、それとも中止するかを選択できる。あまり見たくないダイアログではあるものの、少なくとも重送をしっかりと検知して対応をしてくれるという意味では、信頼がおける。

 ところが本製品では、重送が発生しているのにそれを見逃す場合がある。前述の(1)のテストにおいても、10枚ある原稿のうち8枚しか読み取らずに知らん顔をしていることがあったくらいだ。相性が悪い特殊なコート紙などであればまだしも、インクジェットプリンタで出力した一般的なPPC用紙だったことを考えると、やはりちょっと怖い気がする。

 本の自炊でなによりも怖いのは、元の本を処分してしまったあとで、ページの抜けに気がつくということだ。ページが回転しているとかカラーモードを誤判定しているのであれば手のうちようがあるが、ページが欠落しているのにあとから気がついても、まったくどうしようもない。再入手不可能な本であればそれはもう致命的だ。

 その点(あくまで筆者の経験上ではあるが)必ず何らかのアラートを出してくれることから安心感のあるScanSnapと違い、本製品はいまいち信頼が置けない。これが超音波センサのないことに由来するのか、それともユーティリティレベルの問題かは不明だが、この問題がある限り、個人的にはおすすめしにくいというのが率直なところだ。救いがあるとすれば今回試用したのが発売前の評価機であるということで、製品版で修正されていることを切に願いたい。

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