一流は「対立」を恐れない、逃げない一流の働き方(2/2 ページ)

» 2013年12月05日 10時00分 公開
[川北義則,Business Media 誠]
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「メンタルタフネス」を装備せよ

 次に彼と打ち合わせの時間を持ったときも、以前と同じようなしゃんとした態度だった。その訳を聞いてみた。

 「無礼は無礼でお詫びしなければなりませんが、これは仕事です。それに、読者第一を考えての議論ですから。あそこで僕がしおれていたら、これからずーっとしおれたままでいなければならない。それでは、これからいい仕事はできません」

 当時、若手だったこの編集者は、私の本も含めていくつものヒット作を手掛け、現在、同社で重職に就いている。「メンタルタフネス」という言葉がある。ズバリ、「精神的に疲れを知らない粘り強さ、強きよう靭(じん)性」だ。彼には、若いころからそれが備わっていたのだ。

 正直なところ、社内には彼よりも頭がいいと思わせる人物がいた。だが、ビジネスにおいては、どんなに頭脳が明晰でも、それを生かせなければ意味がない。優れた80の頭脳があっても、精神の強さがゼロなら、その人の総合能力は80点以上にはならない。これはよくて二流の仕事人である。60の頭脳であっても40の精神的強さがあれば、その人の総合的能力は100点になりうる。こちらは一流だ。

 「私は怒っても、その人間を憎むことはしない。偽りのない気持ちを相手にぶつけることが大切」

 本田宗一郎さんの言葉だが、仕事とはそういうものだ。

 傷つけるとか、傷つけられたなどという感情にいちいちこだわるような精神的弱さの持ち主は、成果を上げることなどできない。

 いま「心の病」にかかるビジネスパーソンが増えている。心の病での病院の受診者数が2011年度までの3年間で2割増加したという(「健康保険組合」調べ)。交渉事だけではなく、ビジネスパーソンを取り巻く環境は確かに厳しい。

 だが多様な人間が交差する仕事の実戦グラウンドでは、雨にも負けない「メンタルタフネス」が必要なのだ。ビジネスとは、命の次に大切なお金をやり取りするもの。互いの主張や要求、不満の雨を浴びせ合うのは当然である。それが、ビジネスパート

ナーとして深く交わる地固めにもなるのだ(次回、「周りに流されるぐらいなら『孤立』を選ぶ」)。

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