作り手がメッセージを込めた商品も、お客さんの手に渡れば時に1人歩きを始めます。「メッセージを込める」を別の言葉で言えば、「商品にストーリーがある」ということ。そのストーリーがお客さんにとっての「買うきっかけ」「買う理由」になるのでしょう。
小さな会社でも「新規性」「話題性」「社会性」の3つがあれば、ブランドを作れる!
著者は自ら動き、学び、実践した結果、ブランド構築に必要なものは、「新規性」「話題性」「社会性」の3つという答えにたどり着きました。本書ではその真意とともに、独自の「マーケティング哲学」、すなわち、
などなど、どの商売にも通じる「売ろうとしなくとも、売れる」法則を公開しています。
この記事は2013年11月14日に発売された日本実業出版社の『「売らない」から売れる! どこにでも売っている商品を「ここにしかない」に変える5つの法則』(寺田元著、単行本)から抜粋、再編集したものです。
そもそも「世界で一番愛されないタオル」というのも、普通に考えると、愛されないタオルだから「作ってもしかたがない」となるかもしれません。しかし、テレビでK-1の試合を観て、「作ろう」とひらめいたとき、私はすぐに「いける!」と思ってしまいました。これもやっぱり、「人がやらなさそうなことだ」と考えたからです。
人と着眼点が違っていると感じたときには、「いけるんじゃないか」と思ってしまいます。もちろんそう考えて失敗した商品もあるので、その自分の感覚を確かめるために、きちんとマーケティングもしなければいけないと、今では思っていますが。
何より「ボクシングの試合で投げ入れられるタオルの意味」で紹介した経験を通じて学んだのは、実際にお話を聞いてみないとわからないということです。ボクシングジムの宮田会長にお話をうかがっていなければ、「世界で一番愛されないタオル」という名前で販売していたかもしれません。
たしかに、ネーミングとしては「世界で一番愛されないタオル」というのはインパクトがあります。しかし実際に現場に行ってタオルに対する思い入れをうかがうと、そういうものではないことが分かりました。
そうして思ったのは、「メッセージが込められた商品は作り手の手を離れ、時に1人歩きを始める」ということです。「メッセージを込める」を別の言葉で言えば、「商品にストーリーがある」ということ。そのストーリーがお客さんにとっての「買うきっかけ」「買う理由」になるのでしょう。
実は「GOOD LUCKタオル」は、私が最初にメッセージを込めたタオルの第1号でした。その後も先述した、「ともだち」「おなかま」「勝つためのタオル【vs我】」「夢タオル」など、1つひとつにメッセージを込めて商品開発をしてきました。
「GOOD LUCKタオル」は、「タオルはまかせたろ.com」で扱っているスポーツタオルとしては異例なほど、累計で2500枚以上売れています。タオルを扱っている者にしか分からないかもしれませんが、この数字はちょっとすごい水準です。
おそらくスポーツタオルを購入するお客さんは、通常インターネットで、アディダス、ナイキ、ミズノなど、スポーツメーカーの商品をイメージして検索しています。そのようなみんなが知っているブランドがひしめくスポーツタオルの世界で、ノンブランドの「GOOD LUCKタオル」を売るのは、とても難しいのです。
相対的に評価はしにくいですが、新規参入で2500枚というのは誇るべきロングセラーだと自負しています。
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