WordやExcelでワークフローを――面倒な申請、承認を後回しにしない統合文書管理ソリューションとは?
社内のワークフロー、文書管理が複雑となっている昨今。「intra-mart Microsoft Office 連携ワークフロー」ソリューションは従業員の強い味方になれるか。
内部統制の強化が盛んにうたわれる中、社内のワークフロー、文書管理がますます煩雑となっている印象だ。社員にとってはこれが負担となっていて、面倒な申請、承認をどんどん後回しにしているなんてことはないだろうか。
4月8日、NTTデータ イントラマート(以下、イントラマート)とマイクロソフトが提携して、企業向けに「intra-mart Microsoft Office 連携ワークフロー」ソリューションを提供すると発表した。このソリューションを利用すると、WordやExcelでワークフローが行える。
ワークフロー(申請・承認)機能を持つシステム基盤「intra-mart」と、WordやExcelなどの「Microsoft Office」クライアントソフト(以下、Officeクライアント)、情報共有基盤の「Microsoft Office SharePoint Server 2007」の3つ機能を統合したソリューションで、内部統制に必要な稟議(りんぎ)や、決裁文書の証拠、履歴管理、文書管理、全文検索などを企業内で共有できるという。
Webブラウザのポータル画面の提供、Excel、Wordファイルの管理、進捗などのタスク管理といった文書管理エリアはSharePoint Server 2007が担い、ワークフローや承認プロセスの管理はintra-martが担当する。ワークフローのインタフェースはOfficeクライアントとなる。Officeクライアントとの連携が加わったことは、エンドユーザー(企業の従業員)に大きなメリットがある。日ごろから使い慣れているExcel、Wordをワークフローの画面として利用できるからだ。
ワークフロー国内市場ナンバーワンのシェアを誇るイントラマートだが、ユーザーメリットを考えて協業を選択した。「ワークフローの市場規模も広がってきて、ユーザーからさまざまな要望が上がってきた。協業によって、要望の高かったエンドユーザーが普段使っているOfficeクライアントを、申請処理、ワークフローのエントリー画面として提供できる」(イントラマートの中山義人社長)
一方マイクロソフトの目的は「どれだけ社員の力に影響を与えられるか」「企業統治をどれだけ強化できるか」の2つ。「(協業せずに)マイクロソフト1社だけでは実現できない」(マイクロソフトの平野拓也執行役常務)
「ワークフローシステムを導入しようとすると、まず開発コストがかかる。そして、カスタマイズもなかなか難しかった。使い慣れないユーザーインタフェースのため教育が必要となり、使い勝手の問題から定着まで時間がかかる。これを社員に一方的に押しつける形になっていた」と平野氏は言う。
使い慣れたインタフェースを提供することで教育コストも削減し、非接触ICカード(FeliCa)などを通して、各種書類のデータの手入力の工数を大幅に削減できるため、社内業務のプロセスの効率が上がる。社員の申請、承認の後回しも回避できるだろう。
そして、文書を一元化し、紙で出力する必要もないためコスト削減にもつながる。最終的に内部統制を強化することになるわけだ。
intra-mart Microsoft Office 連携ワークフローは、5月からイントラマートが提供する予定で、価格は1CPUで180万円〜。例えば現在Excel、Wordで使っている文書フォーマットをマッチングするなどの対応も可能で、カスタマイズによって別途費用がかかるとのこと。両社ともに、今後はSaaS/クラウド型のサービスに重点を置いて市場を拡大したいという。
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