――働き方改革についてはどんな意見を持っていますか。
「働きやすい会社を作りましょう」というのが今の働き方改革ですよね。もともとは電通で残業が多かった方が亡くなってしまったので、残業を規制する方向でスタートした感じだと思います。だから多くの人は、長く働くのがきつくて「(働く時間を)10時間から8時間にしましょう!」といった方向には賛同すると思うんです。
――そうじゃないタイプの人もいるということですか?
例えばテレビ局で働いている人とかで、天才肌の、自分の仕事が大好きで1日18時間くらい働いても大丈夫な人もいますよね。でも、そういう人も“できる限り働きたくない”人に合わせて、仕事を制限しなきゃいけない。それって社会にとっても、その人にとっても実は機会損失になっていますよね。
――その2タイプの見極めをして、それぞれに違う制度を与えるのは難しそうですもんね。
ええ、そこを見極めるのが難しいので、とりあえず働きたくない人の方に合わせて、残業させないほうが安全だよね、っていう話だと思うんです。
だから「あまり働きたくないよね」という人を幸せにするのが、今の働き方改革なんですよ。一方で、「仕事が好きでしょうがない」人の可能性を制限してしまっている側面も強いんです。
――働き方改革には、高齢者の雇用も促進される面もあると思うのですが、その点はいかがでしょうか?
高齢者が働きだしてものすごくうまくいった例って、(漫画家の)やなせたかしさん以外にいるんですかね(笑)。
――なるほど。確かに、前編記事「ひろゆきが語る『“天才”と“狂気”を分けるもの』」でも話に出てきた、超優秀な層は勝手にうまくいくから制度とは関係がない、という話なのかもしれませんね。
高齢者がやる仕事って、マンションの管理人とか、駐車場の警備員とかが多いですよね。まぁもちろんクリエイティブな高齢者もいるとは思いますけど、制度として補助するなら、そのリソースは若者に割いたほうがいい。むしろ、多くの若者にとっては、高齢者が働きだすとデメリットのほうが多いと僕は思うんですよ。
――どういうことでしょうか?
そもそも高齢者が働き出すと、労働人口が増えるということなので、労働者の給料は下がりますよね。それに例えば「年金をもらっているから時給500円でいいです」っていう高齢者が現れると、「時給900円は欲しいです」っていう若者の雇用機会が奪われます。
だから、高齢者の雇用が増えることは、若者の給料を下げることや、仕事を見つけづらくなることにつながると思います。なので僕は、高齢者は働かせないほうがいいと思っています。もちろん、自分で会社を作って、若者もどんどん雇えますっていう超優秀な高齢者は別ですけどね。
――後編は週明けの7月22日月曜日に公開予定です。お見逃しなく! ↓の「次回の掲載をメールで受け取る」をクリックし登録することで、後編記事のアラートを受け取れます。
霜田明寛(しもだ あきひろ)
1985年東京都生まれ。東京学芸大学附属高等学校を経て、2009年早稲田大学商学部卒業。文化系WEBマガジン『チェリー』編集長。『マスコミ就活革命〜普通の僕らの負けない就活術〜』(早稲田経営出版)など、3作の就活・キャリア関連の著書がある。最新作は、ジャニーズタレントの仕事術とジャニー喜多川の人材育成術をまとめた『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)。日々の仕事や映画評、恋愛から学んだことなどを発信するネットラジオvoicy『霜田明寛 シモダフルデイズ』も話題に。
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