――スキルシートの統一化と0次請けによって、エンジニアの待遇もよくなっていくということでしょうか。
高井氏:データベースが整ってきたことで改めて分かったことは、0次請けはある一定のレベルのエンジニアしか機能できないため、登録されているエンジニア全てが0次請けとして機能するとは限らないということです。一方で、0次請けとして機能するエンジニアと、そうでないエンジニアを組ませることによって、チーム単位で機能させられることも分かってきました。
つまり、現状で0次請けとして機能する一部のエンジニア以外に対しても、当社が提唱する0次請けを広げることもできるのではないかということです。実際に、当社で0次請けとして働いている人の中には年収1000万円を超える事例も出てきています。そのくらい待遇が良くなれば、東大や東工大を卒業した人がエンジニアになる時代も来ると考えています。理系の優秀な学生がエンジニアにならない国は、日本だけではないでしょうか。
――海外の優秀なエンジニアの待遇はどうなっているのでしょうか。
高井氏:海外の場合は、その国の1人あたりのGDPで2〜3倍くらいの給料をもらっていますね。シリコンバレーで働くエンジニアもそうですし、当社はベトナムのハノイに子会社がありますが、ベトナムの平均的な月給の3倍近くを払っています。
ITが関わらない世の中のサービスやビジネスはもうないですから、ITはまさに「国力」と言えると思います。ところが日本は、国力の基幹を支えるシステム開発の業界がこの体たらくですから、いま変えていかないとどうしようもないですよね。
――それだけ危機感を感じているということですね。
高井氏:海外の状況を見ると、危機感しかありません。日本はこれからさらに人口が減っていきます。社会保障費が増えていくことも確実に見えていますよね。英語ができる人も少ないので、いまのままでは海外の仕事を受注することは難しいのが実態です。
一方で、私たちが進めているデータベースができれば、国内では地方に仕事を持っていくこともできますし、国を超えて仕事を受注することも現実に近づきます。国際的に仕事が流通できる仕組みを早く作って、日本の国力を上げていきたいと考えています。
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。Webサイトはhttp://tanakakeitaro.link/。著書に『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)
パラリンピックがいつどこで始まったか、知る人は少ない。
そして、パラリンピックの発展に、日本という国が深く関わっていることも、ほとんどの日本人は知らない。
パラリンピック60年の歴史を紐解きながら、障害者、医師、官僚、教師、そして皇室の人びとといった、パラリンピックの灯を今日までつなげてきた人日本人たちのドラマを、関係者の貴重な証言から描く。
日本の障害者スポーツ史の決定版。
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