宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズ(以下IST、北海道大樹町)は、企業や大学、研究機関からエンジニアを受け入れる「助っ人エンジニア制度」を活用し、古河電気工業から新たに1人のエンジニアを受け入れたと発表した。同制度による受け入れ期間は2年間とし、2020年4月に始まったトヨタ自動車の研究開発エンジニア2人に続いて2社目となる。
同制度は、航空宇宙業界を含むものづくり業界の企業などに所属するエンジニアが、ISTの社員とともにロケットを研究開発するプログラムだ。出向させる企業はISTによる人材育成や研究者の活躍促進を目指すことができる。一方、ISTには各業界のノウハウを獲得し、ロケットの研究開発スピードを加速させたい狙いがある。同社は宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)からもエンジニア1人を受け入れていて、現在合計で4人のエンジニアを受け入れているという。
同社の社員は4月に7人が加入するなど計60人規模になっている。
古河電工コーポレート統括本部ソーシャルデザイン統括部長の枡谷義雄氏は今回の狙いを以下のように語る。
「熱意にあふれる出向者をIST社に派遣することで、ロケット開発に貢献できることを期待している。ISTとの共創を通じ、宇宙領域の技術課題について、当社の素材‧電装技術をさらに磨き、融合させることで、社会課題を宇宙から解決することを目的に研究開発を進めていく」
また同社のビジネス基盤変革本部CHROの田中雅子氏は「人選にあたっては、公募形式により電装技術の知見を持った応募者を募った。ロケット開発の技術的なハードルは高く、開発の過程で課題があると思うが、当社のエンジニアとISTの方々が互いに切磋琢磨することで乗り越えていけるものと確信している」と話す。
ISTは「世界一低価格で、便利なロケット」をコンセプトに、観測ロケット「MOMO(モモ)」と、超小型人工衛星を宇宙空間に運搬する軌道投入ロケット「ZERO(ゼロ)」を独自に開発している。
今夏にはTENGAと協力した「TENGAロケット」を打ち上げる予定だ。同社は引き続き同制度に参加するエンジニアを募集していて、企業の枠を超えた研究開発を推進していく。
今夏には改良した「MOMO」を打ち上げる。定常的な打ち上げを実現させ、ビジネスを軌道に乗せられるか(左からTENGA松本光一社長、インターステラテクノロジズ堀江貴文取締役ファウンダー、インターステラテクノロジズ稲川貴大社長、撮影:KAZAN YAMAMOTO)
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