なぜ浜松いわた信金の店舗が併設されているのか。実は森田支店は以前、別の場所にあった。ことの経緯はこうだ。山崎社長と浜松いわた信金の御室健一郎会長が宴席で意気投合し、トップダウンでスタートしたのがきっかけだという。
「森田支店も老朽化していて、建て直しの話が出ていました。だったら一緒にやりましょうと即座に決まったそうです」(森田支店の請井将矢支店長)
基本的に施設デザインなどは全て春華堂側がリード。浜松いわた信金は取り立てて口を出すことはなかったが、唯一、注文したのが、外看板についてだった。
「建物にそぐわないという理由で、最初は外看板がありませんでした。ただ、それがなくては何の店舗なのか分かりません。そこで提案をもらったのが、豚の貯金箱だったのです。春華堂が配慮してくれて、青と黄色の当社イメージカラーの案を出してくれたのですが、会長が『赤色にする』と一言。それで決定しました」と請井支店長は苦笑する。
ただ、見た目のインパクトは強く、若い女性たちなどにとって恰好(かっこう)の写真スポットになっている。この様子を見て、請井支店長はほっと胸をなで下ろしたそうだ。浜松いわた信金のミッションは地元企業の発展を支えること。それを加速させるためにも、スイーツバンクを「地域活性」の拠点にしたいという思いがある。
この施設がある神田町には、「神田大通り発展会」という、20社ほどの企業が集まる自治組織がある。発展会では、道路整備や街灯の取り付け、防犯パトロールなどを協力して行っている。以前は、球技大会なども開催されていたが、時代とともにアクティビティーはなくなっていった。浜松いわた信金は、まずは企業同士の交流を促して、活気を再び取り戻したいと考える。
春華堂も地域交流には前向きだ。すでに地域の菓子メーカー2社とともに商品開発する企画も浮かび上がっているという。これは春華堂にとっても画期的な出来事だ。
「これまでは他社と連携することはあり得ませんでした。自分たちで全てやるのが創業以来のスタンスですから。ましてや、菓子屋同士がコラボすること自体が異例ですよ」と、自社のことながら山崎社長も驚きを隠せない。
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