スイーツバンクができたことで、早くも街に変化が生まれている。道路を挟んで向かいの陶器屋が、施設のオープンに先んじて、数百万円かけて店舗をリノベーションしたのだ。街の景観に合わせたいという思いだったという。もちろん自発的な取り組みである。
この粋な行動に山崎社長は大いに喜び、こうした流れが次々と起きれば、すごいことになると感じている。行政ではなく、地元の企業が主体となって、街を再デザインするというのは、あまり例を見ないことだからだ。
鈴木康友市長もこの地域を中心に、浜松を「スイーツの街」にしたいと意気込んでいる。
こうした動きの中で、春華堂はあくまで黒子に徹する考えだ。「一人勝ちはあまりよくないです。春華堂が、ではなく、皆で作ったものでありたいと考えています。浜松の地域が長く残っていくためには共存共栄が大切」と山崎社長は話す。
その上で、浜松を元気にしたいという気持ちは人一倍強い。コロナ禍で今は自由な往来が難しいが、いずれは浜松に大勢の人たちを呼び込むための集客装置として、スイーツバンクをもっとアピールしていきたいと考えている。
すでに実績はある。春華堂の工場と観光施設を兼ねた「うなぎパイファクトリー」だ。2005年にこのファクトリーを立ち上げた背景には、地元住民からの強い要望があったという。
「昔は工場の内部を見せていましたが、時代とともに、食品衛生面などで工場に人を入れるリスクが大きくなって、いつしか止めてしまったのです。ただ、幼少期に見学したことがある地元の大人たちは、自分たちの子どもにも見せてあげたいと思うのは当然ですよね。何年間もそうした要望が寄せられ続けた結果、うなぎパイファクトリーの建設に動いたのです」
工場ごと観光施設にしてしまえば、地域の小学生や幼稚園児だけでなく、全国から観光客が集まるかもしれない。その狙いが的中し、コロナ前には年間70万人が押し寄せる一大観光スポットとなった。
これに、同社が運営する商業施設「nicoe(ニコエ)」と、スイーツバンクを加えて、年間200万人の来場者数を目指したいと、山崎社長の鼻息は荒い。
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