インタビュー
» 2021年12月03日 18時37分 公開

『AKIRA』大友克洋の初監督作品も上映 「角川映画祭」が新たなファンを獲得する理由アーカイブビジネスで収益化(1/2 ページ)

角川映画45周年を記念した「角川映画祭」が開催中だ。過去の作品をリバイバル上映する映画祭は、ビジネスとして収益をあげているだけでなく、名作を次世代に継承する意義もあるという。

[田中圭太郎,ITmedia]

 角川映画45周年を記念した「角川映画祭」が開催中だ。東京ではテアトル新宿で12月16日まで、EJアニメシアター新宿で12月9日まで上映されているほか、全国で順次上映される。ラインアップされているのは、角川映画第一弾で市川崑監督がメガホンを撮った『犬神家の一族』をはじめ、日本映画界に影響を与えた名監督の作品が中心だ。

 またアニメ映画では、漫画家・映画監督の大友克洋氏の初監督作品『工事中止命令』など、3作品で構成されるオムニバス映画『迷宮物語』を上映している。11月28日には大友克洋氏のトークショーも開催され、当時のエピソードが披露された。

 過去の作品をリバイバル上映する映画祭は、ビジネスとして収益をあげているだけでなく、名作を次世代に継承する意義もあるという。角川映画祭を開催する背景をKADOKAWA文芸・映像事業局の原田就氏に聞くとともに、大友氏のトークショーの模様をお伝えする。

角川映画祭のトークショーに出演した漫画家・映画監督の大友克洋氏(以下撮影:河嶌太郎)

巨匠が手掛けた角川映画を上映

 「角川映画祭」で上映されているのは、角川映画を代表する31作品。『犬神家の一族』の4Kデジタル修復版が初めて上映されたほか、深作欣二監督、大林宣彦監督、当時はまだ新人だった相米慎二監督や森田芳光監督など、巨匠と呼ばれる監督たちによる作品がラインアップされている。

 角川映画は1976年に誕生。「読んでから見るか、見てから読むか」をキャッチコピーに、出版との連動や、当時は画期的だったテレビでの宣伝など、大規模なメディアミックスを展開した。40周年の際には昭和の作品をテーマに映画祭を開催。45周年の今回、監督をテーマにラインアップした理由を、KADOKAWA文芸・映像事業局映像営業部の原田就氏は次のように説明する。

 「角川映画にはメディアミックスや大量宣伝、それにアイドル映画といった派手なイメージをもたれている方もいらっしゃるかもしれません。でも実は、市川崑さんや深作欣二さんなど、今の日本映画の第一線で活躍している監督に影響を与えた、名監督と呼ばれる方々の作品がそろっています。

 それに今回は初めて、他社の劇場であるテアトル新宿さんを会場にしています。テアトル新宿さんは日本映画専門の映画館ですので、現在の日本映画をよく観(み)ている目の肥えたお客さまにも足を運んでいただければと思い企画しました」

『犬神家の一族』の4Kデジタル修復版が初めて上映されたほか、深作欣二監督、大林宣彦監督の作品も上映

4K化と映画祭によるアーカイブビジネス

 映画祭の話題の一つは、角川映画第一弾の『犬神家の一族』4K版の上映だ。4K版は12月24日に発売するBlu-rayディスクや、配信などでも楽しめるようにした。4K化以外にも過去作品のデジタル化を進めている。その背景には映画ビジネスの変化があるという。

 「2012年頃から映画館のデジタル化が進み、フィルムで上映できる場所がなくなっていき、作品のデジタル化が急務になりました。当社は角川映画以外にも、大映や日本ヘラルド映画なども含めると約2000作品を所有しています。デジタル化した作品を活用するため、14年に角川シネマコレクションを立ち上げ、映画祭と二次利用のビジネスを展開しています」

 現在では配信によって、家庭でも気軽に映画を観る環境が整っている。それでも映画祭はビジネスとして成立していると原田さんは話す。

 「映画界全体として、旧作をリバイバル上映する機会が増えています。旧作は新作とは違ってターゲットがはっきりしていますので、これくらいの人に観ていただけるだろうという数字がある程度読めます。そこまでリスキーなビジネスではありません。

 一方で、当社の映画祭に関しては、映画を次世代に継承することを命題にしています。リアルタイムで観たシニアの方だけでなく、当時作品に触れていなかった方にも観ていただきたい思いが強いですね」

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