グリッドで実現可能なリアルタイムエンタープライズを示すOracleOracle OpenWorld London 2004 Report(2/2 ページ)

» 2004年09月08日 11時27分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
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SOAベースのシステム設計

 統合されたインフラの次は、システム設計。予測のつかないサービス要求レベルという問題を解決するために、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を利用して迅速なレスポンスを実現するシステム設計を取り入れるべきだとする。ここでは、「JDeveloper」「Oracle Application Development Framework」を利用してサービスを作成し、「Oracle Application Server 10g」を中心に各種標準技術を駆使して統合し、「Oracle BPEL Process Manager」を用いて、各種サービス間のオーケストレーションを行う。さらには統合技術により、これらの一連のサイクルを監視・分析することも可能だ。

 ビジネスプロセスを自動化するための標準、BPEL(Business Process Execution Language)では、買収によって大きな補強を図っている。同社は今年6月末に米Collaxaを買収、数少ないBPELネイティブの製品を提供するベンダーの1社となった。

リアルタイムの情報収集

 土台が完成したらいよいよRTEの実装だ。第一歩はリアルタイムの情報収集となる。ここで活用するのは、文字通りリアルタイムで情報を発信するRFID(無線ICタグ)などの技術だ。ロズワット氏はRFIDなどを「センサーベースサービス」と呼び、同社の対応を強調した。具体的には、「Oracle Edge Server」「Oracle DataBase 10g」を用いてセンサーから収集したデータをフィルタリングして分散し、管理するという一連の作業を実現する。もちろん、データベースに格納されたデータは再活用が可能だ。Oracleはこのようなセンサーベースサービスに、アプリケーションでもインフラソフトウェアでも対応する。

 デモでは、実際にRFIDのタグを貼った出荷待ちの荷物をセンサーが読み取り、Oracleのインフラ技術上に構築したカスタムアプリケーション上で表示、出荷状況情報に加え、個々のRFIDが持つ詳細情報をカテゴリー化して表示するという倉庫管理ソリューションを実演して見せた。

 既に貨物大手のDHLは現在、OracleのRFIDソリューションを利用して荷物を追跡するパイロットプロジェクトを展開しているという。

情報の配信、分析、活用

 RTEの次のステップは、収集した正確な情報を迅速に配信することだ。情報は活用してこそ価値を持つ。「Oracle Application Server 10g」のポータル機能と「Oracle Database 10g」のBusiness Intelligenceではデータマイニング、分析、パーソナライゼーションなどの機能により、ユーザーのビジネス上の役割りに基づき、正しい情報を提供できる。しかも、OLAPデータであろうが、リレーショナルデータであろうが、すべて同じ場所に格納されている。

 「情報があるがビジネス上の決定に生かせていないのでは意味がない。OracleのBusiness Intelligence機能により、ビジネス上の問題を解決するために技術を翻訳できる」(ロズワット氏)

 ロズワット氏は、近々Business Intelligenceツールの最新バージョンを発表する予定であることも明らかにした。

コラボレーション

 RTEの最後のステップがコラボレーションだ。「Oracle Collabotation Suite」では、Web、FAX、IM、電子メール、音声、ファイルなどさまざまなデータを一元管理し、効率の良い情報共有を実現できるという。デモでは、Oracle Collabotation SuiteのWebカンファレンス機能を利用して、同じ画面を遠隔にいる2人のユーザーが共有するなどのことを実演して見せた。

 このように、グリッドの次のステップを示して見せたロズワット氏だが、基調講演後のQ&Aセッションでは、グリッドは初期段階にあり、「企業による広範な採用にはまだまだ時間を要する」ことを認めている。グリッドをインターネットの次のITインフラにするためには標準化などの課題も残されているが、これに対しては、この春にEnterprise Grid Allianceが結成されたことに言及、「各社のビジョンは異なっても動き始めた」と評価した。

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