四国中央市は、全庁で使う約1100台のPCのオフィスソフトを2010年度にOpenOffice.orgに入れ替える予定だ。4月1日から試験導入を始め、実運用に耐えうるかを検証する。コスト削減を掲げ、OpenOffice.orgを採用する地方自治体が増えている。
四国中央市は4月1日から、全庁で使う約1100台のPCのオフィスソフトを、無償のオープンソースソフト「OpenOffice.org」に入れ替えるための試験導入を始める。ライセンスの更新費が発生しないため、コスト削減につながることが導入の決め手になった。
無償で利用できるOpenOffice.orgを使い、オフィスソフトの更新やPCの入れ替えに伴うコストを削減するのが狙い。四国中央市は有償のオフィスソフト「Microsoft Office」を使っているが、すべてを入れ替えた場合、5年間で約3300万円のコスト削減効果が見込めるという。
3月までに約1100台のPCにOpenOffice.orgをインストールした。4月から試験運用を開始し、使い勝手や利用者の意見を調査する。既存のシステムに依存しやすい帳票作成などの業務にはMicrosoft Officeを併用して使う。下半期にはe-ラーニングによる職員研修を進め、2010年の5月に本格運用を開始する予定。
特定のソフトに依存しない国際標準の文書フォーマット「Open Document Format」(ODF)に対応していることも評価した。作成した公式文書をWebで公開する際に、市民は有償のオフィスソフトを導入しなくても閲覧できる。情報開示にも活用することで、市民サービスの質の向上にもつなげる。
OpenOffice.orgは、文書作成や表計算、プレゼンテーションなどの機能を持つスイートソフト。Microsoft Officeとも互換性を持つ。有償のオフィスソフトに比べてコスト削減が見込めるとして、福島県会津若松市(人口約13万人)などの地方自治体で採用が進んでいる。四国中央市情報システム課の担当者は「(会津若松市などの)OpenOffice.orgの成功事例が導入を後押しした」と話している。
愛媛県の東端に位置する四国中央市は2004年に川之江市、伊予三島市、宇摩郡土居町、宇摩郡新宮村が合併して生まれた。人口は約9万1000人。
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