新システムは「生産現場と生産農家目線」をポイントに開発を推進。高齢化が高まる農業生産者に分かりやすく、その後継者にも直感的に操作できるよう、タブレットの利便性を生かすシステムとする方針にした。「農業をしっかり把握した営農部を中心に開発を進め、既存システムのデータや、JA北海道情報センターからの還元データを活用し、極力組合員の入力を省けるシステムとすることができた」(JAたいせつ)
職員がデータを携帯し、生産農家に入力してもらう端末には「Surface Proシリーズ」を選定した。「Surface Proは、Microsoft Officeとキーボードを備えた日常業務のためのWindows PC、かつタッチ操作と携帯性に優れるタブレット、両面の利便性を兼ねた端末だった」(JAたいせつ)という。
あわせて、専用のWindowsストアアプリも作成した。開発は、システムプログラム全般をネクシス光洋が、日本マイクロソフトの支援のもと、システム画面デザインやロゴをマーベリックが担い、Windows 8.1で動作する国内初の農協系LOBアプリに仕立てた。アプリはタッチ操作での分かりやすさを工夫し、必要項目を埋めるだけでヒアリングを完了できるようにした。
専用アプリはWindowsストア発行によるダウンロードではなく、ActiveDirectryサーバを経由するサイドローディング機能を活用して配布する。生産履歴の記帳、農業生産工程管理の記帳と確認、耕地図の表示などの作業を職員が使うSurface Proで処理。各アプリのマスター/入力データはクラウドサーバへ蓄積して、Webアプリケーション上で管理と運用を可能に。クラウド経由で、JA北海道情報センター、JA業務サーバ、GIS図化システムといったJA関連の既存システムともデータを連携できるようにした。
Surface Proと専用Windowsストアアプリの効果は、
につながった。
従来のOCR用シートに手書きされた内容を確認する方法は、場合により再入力が必要だったことも含め、3〜4カ月の日程を要していたという。これが1週間に短縮されたとならば、業務効率、人件費ともにかなり大きな効果が生まれそうだ。
「農業も今は競争ですから、消費者から選ばれる米を作り続けなくてはいけません。それも、地域全体で選ばれ続けることが重要です。今回開発したアプリとSurface Proシリーズによって、生産履歴のデータ化が高速化されると、今度は製品出荷時の消費者へのメッセージとしても応用できるかもしれません。また、耕地図システムによって、品質向上の効率化が図れるかもしれません。今後の活用拡大に大いに期待しています」(たいせつ農業協同組合 代表理事組合長/上川生産農業協同組合連合会代表理事会長の柿林孝志氏)
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