データセンターの最新動向については、興味深い調査結果もあった。IDC Japanが先頃発表した国内のデータセンター管理者300人を対象にした調査によると、「データセンターやサーバルームを新設する予定はあるか」との質問に対し、ICT関連サービス事業者が所有する事業者データセンターの24%は「ある」と答えた。一方、金融機関や製造業などの一般企業が所有する企業内データセンターの管理者による「ある」との回答は9%にとどまった。
この結果について、IDC Japanは、企業用途において「既存のIT資産を事業者データセンターやクラウド環境へマイグレーションする取り組みが加速しており、事業者データセンター新設の必要性が大きい傾向にある」と分析している。前述のEquinixやアット東京の施設は、ここでいう事業者データセンターに当てはまる。
IDC Japanの調査結果を見ると、企業が所有するプライベートクラウドでも、ファシリティについては事業者データセンターを利用するケースが増えているとも読み取れる。エクイニクス・ジャパンの齋藤氏による先のコメントが、それを示唆しているようにも受け取れる。
また、同じ事業者データセンターを運営していても、大手システムインテグレーターや通信事業者が主力しているのはクラウド事業者からサービス提供を受ける「ホステッド型プライベートクラウドサービス」であり、この領域も堅調に推移しているとみられる。
ただ、事業者データセンターの動きで注視すべきは、やはり前述のEquinixやアット東京のメガクラウドサービスとの接続における取り組みだ。エクイニクス・ジャパンの古田氏が言うように、プライベートクラウドユーザーが複数のパブリッククラウドサービス、すなわちメガクラウドサービスも使ってみたいというニーズが増えてきている動きは、クラウドサービスに関する取材で最近、よく耳にする。
その意味では、Equinixやアット東京の新たな取り組みは、メガクラウドサービスとの接続を容易にしたデータセンターを起点に、企業におけるマルチクラウドの利用が加速していることを物語っている。
今後はこの仕組みが企業におけるマルチクラウド利用のオーソドックスなスタイルになっていくかもしれない。果たして自社で所有するオンプレミス環境と比べて、どれほどのコスト効果や生産性を上げられるのか。ビジネスモデルの変革や創出に結び付けることができるのか。これらの成果もケーススタディーとともに、さまざまなモデルケースを開示していっていただきたい。
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