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CRMは“使いやすさ”で選ぶと失敗する? 経営層から現場まで419人に聞いた、選定基準と定着要因のズレ

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ITセレクト編集部
/発注ナビ株式会社

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調査レポート:2026年上期 CRM選定の現状と課題に関する実態調査

SaaS選定のプラットフォーム「ITセレクト」は、CRM(顧客関係管理システム)の選定・運用に関わる営業・システム・経営企画などの担当者419人を対象に、「2026年上期 CRM選定の現状と課題に関する実態調査」を実施しました。

本調査から、CRMの選定・導入時に担当者の約4人に1人が最優先に挙げる基準は「画面のわかりやすさ(UI)」であるものの、その基準で選んだ企業ほど現場への定着不足やデータの形骸化に悩まされているという、選定基準と定着要因のズレが分かりました。また、自社のCRM運用状況を「把握していない」企業が50.4%に上ることや、満足でも不満でもない「どちらともいえない」層が利用者の40.8%を占めることなど、製品のカタログスペックだけでは見えないCRM選定の落とし穴も浮き彫りになりました。

この記事で分かること

  • CRM運用の実態:導入企業の約半数(50.4%)が、自社のCRM運用状況を「把握していない」状態にあります。
  • 選定基準の意外なズレ:「画面のわかりやすさ(UI)」を最優先に選んだ企業ほど、現場への定着不足に悩まされています。
  • 満足でも不満でもない層は想像以上に多い:利用者の40.8%が「どちらともいえない」と回答し、見直しの先送りが常態化しています。
  • 後悔しない選定/見直しの視点:UI・分かりやすさだけで即決せず、複数社の比較検討と「出口戦略」を持つことが、選定ミスを避ける鍵になります。

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CRMは「使っているのに、使えていない」──半数が運用実態を把握できていない状況

CRM(顧客関係管理システム)は顧客情報を一元管理し、営業活動を効率化するためのシステムです。「顧客獲得が難しくなっている」と、選択肢の多様化や人口減少などさまざまな状況を背景に、顧客管理の重要性は年々増しています。ところが今回の調査では、その前提を揺るがすような数字が出ました。

「現在メインで利用しているCRMのシステム形態」を尋ねたところ、最も多い回答は「把握していない」(31.3%)でした。これに「特に管理していない」(19.1%)を加えると、合計50.4%が自社のCRM運用状況を特に把握していない状態にあります。

他方、Salesforce、HubSpot、Zohoなどの専用機能を持つクラウド型製品を利用している企業は25.5%で、ERP(統合業務管理システム、Microsoft DynamicsやSAPなど)に含まれている機能を使っている(7.9%)、自社開発システムで運用(8.6%)、Excel/Google スプレッドシート管理(7.6%)が続きました。

CRMは、顧客関連情報を一箇所に集約し、属人化を防ぐためのツールです。その導入や運用状況そのものが「分からない」という回答が最多になった状況は、ツールの目的と運用実態がすでに乖離していることを示しています。

現在メインで利用しているCRMのシステム形態

選定基準の最上位は「UIの分かりやすさ」 それなのに、なぜ現場に定着しないのか

CRMの選定・導入時に最も重視した要素を聞くと、首位は「UI/操作画面の分かりやすさ(UI)」で26.3%でした。「機能の豊富さ・拡張性」(22.7%)、「他システムとの連携性」(19.8%)、「初期・月額の費用」(16.5%)、「ベンダーの支援体制」(11.2%)が続きます。

「現場」が迷わず入力できること、使いやすいことを優先する姿勢は、堅実な選び方に見えます。

しかし、選定基準と運用課題をクロス集計すると話は単純ではなくなります。UIを最も重視すると回答したグループ(n=110)が抱える課題を見ると、最も多かったのは「現場への定着不足」(17.3%)、次いで「データの形骸化」(16.4%)でした。

UI重視の裏側に潜む「定着しない」「データ形骸化」の課題

「機能の豊富さ・拡張性」を重視したグループ(n=95)では「データの形骸化」(22.1%)と「コストに見合わない」(20.0%)が上位を占め、「他システムとの連携性」を重視したグループ(n=83)では「定着不足」(20.5%)が最多でした。重視した基準がそのまま満たされるとは限らず、どの基準で選んでも選定時には想定していなかった課題が別の形で表面化する構造が見えてきます。

なお、UI重視、機能重視、連携性重視のいずれのグループにも、運用課題の回答が「導入していない/分からない」だった人が一定割合含まれます(UI重視グループでは32.7%)。そのため、「特定の基準で選んだ人ほど定着に失敗している」と因果関係まで言い切れるわけではありません。それでもどの基準を最優先にした人の中にも、定着やデータ活用の課題を挙げる人が一定数いることは3グループに共通して存在します。

言い換えると、UIの分かりやすさは導入直後の心理的なハードルを下げる効果はありつつも、日々の入力を習慣として定着させる要因そのものではありません。操作画面が使いやすいことと、現場が実際に使い続けることは、似ているようで別の問題だと考えられます。

クロス集計_CRM選定時重視要素と運用時課題の分布

本当の分岐点は「不満」ではなく「無関心」

現在自社利用しているCRMへの総合的な満足度を聞くと、最も多かったのは「どちらともいえない」(全体28.2%、利用者ベースでは40.8%)でした。他方、満足計(満足+どちらかといえば満足)は利用者ベースで36.0%、不満計(やや不満+不満)は同23.2%です。不満が満足を上回っているわけではありませんが、両者を合わせた56.8%より、態度を決めかねている層の存在が大きいことが分かります。

明確な不満があれば、乗り換えや改善といった次の行動につながりやすいものです。しかし「どちらともいえない」という評価は、明らかな不満でも満足でもないため、見直しの動機が生まれにくくなります。

CRMは高い利用料金を払って導入しても成果が実感できないまま「とりあえず動いている/運用している」状態に陥りやすい、運用が難しいツールであることも、一部の例外にとどまらず、多くの企業に共通する現実であることを示しています。

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CRM専用クラウドツール利用者の満足計は、Excel管理の3.5倍

CRMの運用形態別に満足度を見ると差は歴然としています。SalesforceなどのCRM機能に特化したツール利用者(n=107)の満足計は54.2%だったのに対し、Excel/Googleスプレッドシートで管理している層(n=32)は15.6%に留まります。約3.5倍の開きです。また、自社のCRM状況を「把握していない」と答えた層(n=131)の満足計はわずか6.1%で、そもそも評価できる材料がないことが伺えます。

クロス集計_CRM形態別の満足度

この差は、専用機能を持つツールの有無や形態そのものの優劣というより「顧客情報が一元化され、誰が見ても状況を把握できる状態にあるかどうかの差」と考えた方が実態に近いといえます。Excel管理や「そもそも把握していない」状態では、満足・不満を判断する前提となる情報自体が担当者の頭の中にしかありません。

現在利用しているCRMへの総合的な満足度

後悔しないCRM選定|見直しの3つの視点

ここまでの調査結果が示すのは、CRMの選定における「よくある基準」と「実際に定着する要因」がずれている事実です。ここからは、そのズレを踏まえたうえで、選定や見直しの際に確認しておきたい3つの視点を整理します。

公開しないCRM選定で考察しておくべき3つの視点

視点1 UIだけで決めない|実際の業務に当てはめた要素で”横並び”比較する

UIの分かりやすさは、選定時のデモや初回操作で最も評価しやすい指標です。だからこそ最重視されやすいのですが、今回の調査結果が示す通り、それだけで「定着する」とは保証できません。

まずは、1社・1製品の画面、操作性だけで判断を終えず、複数の候補を実際の業務フローに当てはめて、横並びで比較することが、UI偏重による選定失敗を避ける一歩になります。

視点2 導入前に「定着」を仕組み化する

運用課題の上位は「定着不足」と「データの形骸化」でした。いずれも導入後の運用設計に関わる問題です。

これには、入力項目を必要最小限に絞る、現場の業務フローに沿った入力導線にするといった「負荷を減らす工夫=自社の改善プロセス」も、製品の選定と同じ重みの中で検討するのが一手です。端的には、ツールを選ぶ段階で「誰がいつ何を入力するのかといった運用ルールを具体的に描けているかどうか」が分かれ目になります。

視点3 はじめから「出口戦略」を持つ

乗り換えや新規導入を「1年以内に計画している」「検討中」と答えた積極検討層は28.1%に上り、約3人に1人が現在の顧客管理体制からの移行を意識しています。事業環境の変化が激しい現在、最適なツールや運用の要件は刻一刻と変化するため、導入後にデータ構造の複雑化や長期契約によるベンダーロックイン(特定のベンダーの製品やサービスに依存し、他社製品への乗り換えが困難になる状態のこと)が生じるリスクは無視できません。

だからこそ、導入時点から「乗り換える(解約する)時」まで見越した出口戦略を持つ視点も重要です。新たなツールの選定において、前のツールとの差は確認するでしょう。しかし「これから選定しようとしているツールを、解約する時」まではなかなか考えが及ばず、抜けてしまいがちな観点です。具体的な移行手順、解約条件、将来的なデータ移行のしやすさ、契約期間の柔軟性を事前に確認しておくことが求められます。

出口戦略を用意しておく価値は、単なる撤退コストの削減にとどまりません。「いつでも安全に移行・見直しができる」という戦略的な余裕があるからこそ、自社の変化に合わせた最適な意思決定が可能となり、失敗を恐れずに今のツールをフル活用、使い倒せるようになります。

経営企画職は動き出している|積極検討率28.1%の実態と、板挟みの中間管理職・選定層

CRMの乗り換え・新規導入への積極検討率を職種別に見ると、最も高いのは経営企画職(n=32)で37.5%、次いで営業・営業企画職(n=288)が29.2%、システム関連職(n=70)が28.6%でした。一方、企画・マーケティング職(n=29)は6.9%と低い結果です。経営戦略、売上戦略とCRMを直接結びつけて考える層ほど、見直しへの動きが早いことがうかがえます。

クロス集計_職種別CRM乗り換えの積極検討率

役職クラス別に満足度を見ると、意思決定権を持つ管理職以上(部長、役員層、n=85)の満足計は42.2%(利用者ベース)で3グループ中最も高くなっています。ところが係長、課長クラス(n=179)では不満計が25.5%と最も高くなります。現場の実情を把握し、実際の選定計画担当者として任命されがちながらも、システムの選定や予算に関する意思決定には関与しにくい中間管理職の立場の差が、この数字に表れています。一般社員層(n=155)は「導入していない・わからない」が45.8%に上り、そもそも自社のCRMへの関与度自体が低いことも分かります。

CRMをめぐる温度差は、役職や職種によって想像以上に大きいものです。全社で同じ課題意識を共有できていない状態のまま選定や見直しを進めると、せっかく新しいシステムを導入しても、現場との温度差が再び定着不足を招きかねません。

 

クロス集計_役職クラス別の現CRM満足度分布

 

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:30~59歳の会社員(正社員)および経営者・役員(営業・システム・経営企画・マーケティング職)
  • 有効回答数:419人(各設問は単一選択。割合は各集計の回答人数を分母として小数第1位に丸めているため、合計が100%にならない場合がある。満足度の利用者ベース再集計は、「導入していない・わからない」と回答した130人を除いたn=289を分母とした)
  • 調査日:2026年7月10日~13日
  • 調査元:発注ナビ株式会社 / ITセレクト編集部

まとめ:CRMの「なんとなく運用」を終わらせ、定着状況の見直しから改善策を進める

今回の調査で見えてきたのは、CRM選定において「分かりやすさ」を優先する判断そのものが誤りだという話ではありません。問題はその基準だけで選定してしまい、定着や出口戦略といった運用面の検討がされていない「進め方」にあります。

自社のCRM運用状況の詳細を約半数が把握しておらず、利用者の40.8%が満足でも不満でもない「どちらともいえない(=無関心)」だった結果は、多くの企業にとって他人事ではないはずです。今のCRM、顧客管理の手段を「なんとなく」使い続けているとすれば、まずは自社の選定基準と定着状況を照らし合わせてみることから始めてみてください。

複数の製品を横並びで比較し、自社の課題に合ったCRMを見極めるための一歩として、課題・目的別に整理した資料「CRM(顧客管理システム)の利用実態調査-課題・目的別に選べるおすすめCRM」も用意しましたので、ぜひご活用ください。この資料には、今回の調査結果と役職・職種別のクロス集計に加えて、無料・低コストで始められるCRM16選、中小企業向け12選、中〜大企業・グローバル企業向け11選、SFA機能を備えた18選、MA機能を備えた13選、業界・目的特化型17選など、課題・目的別に整理された製品紹介と、選び方5ステップ、CRM導入を成功に導く3つの秘訣まで、全28ページにまとめています。

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