International CESのSouth Hallには、HD DVDとBlu-ray Discそれぞれの規格を推進する団体であるHD DVD Promotion GroupとBlu-ray Disc Associationが隣接してブースを構えている。ただ、それぞれのブースに対する来場者の反応は対照的ともいえるほど異なっている。
双方ともに推進する規格のビデオタイトルや対応製品の紹介がメインであることに変わりない。ただ、HD DVDのブースがタイトルの豊富さを紹介のメインに再生デモを行うという、これまでの展示会とほぼ同様の内容にとどまっていたのに対し、BDのブースはネットワーク機能である「BD-LIVE」やJavaを利用したインタラクティブ機能「BD-J」のデモ紹介にスペースを割き、“BDは高画質なだけではなく、これまでにない楽しみ方を提供する”というメッセージを強く発信。来場者の関心を集めていた。


Blu-ray Disc Associationのブースでは昨年リリースされた人気BDタイトルのキャラクターが多数。ハードウェアも展示されているが、あくまでも「BDがどのような楽しみを提供するか」に力点が置かれている(左、中)。300ドル以下での販売が予定されている船井電機製のプレーヤー(右)BDのブースで常に来場者が絶えなかったのは「Alien vs. Predator」を使ったBD-LIVEのデモ。実際の映画映像にFPS(First Person Shooting)ゲームを重ね、映画を見るだけではなくゲームとして映画に参加できる。ゲーム開始時に「エイリアン」「プレデター」「人間」と自分の陣営を決め、ライバルの種族をリモコンで撃つことでスコアが上がっていくほか、武器が複数から選択できるなどなかなか本格的な作りで、リモコンを手に映画を“楽しむ”人でデモは盛況を極めていた。
ネットワーク機能やインタラクティブ機能はHD DVDも実装しており、ブースでも紹介が行われていたが、Alien vs. Predatorのデモほど分かりやすく「次世代ならではの楽しみ」を明確に伝えるに至っておらず人出もまばら(HD DVDのそうした付加機能についてのデモは東芝ブースの方が充実している)。対応ドライブを搭載したPCの展示はHD DVD側の方が多かったが、それらも単純な製品の展示とタイトルの再生にとどまっていた。
確かに両ブースを眺めているとBD優位という印象を受けるが、BD側が映画キャラクターやインタラクティブデモなどを前面に押し出し、キャッチーな要素を多分に含むブース構成であるのに対して、HD DVD側はブース奥まで進まないと詳細な説明を受けられないといった構造的な違いがあることも考慮しなくてはならないだろう。また、HD DVDブースの新鮮味のなさは、急遽発表されたワーナーのBD一本化(関連記事)に対してHD DVD Promotion Groupが対抗策を準備できなかったという可能性もある。
ただし、両ブースを含む今回のInternational CES全体を俯瞰しても、フォーマット競争はBD優位に大きく傾きつつあるように感じられる。本田雅一氏のコラムにもあるよう、ハリウッドメジャーの関心は「BD対HD DVD」から「DVDからBDへの転換」「BD対ネットワーク」にシフトしており、MicrosoftもXbox 360におけるBDのサポートを検討(関連記事)するなど、「BD優位」を示す動きは加速する一方だ。東芝は「HD DVDはベストなソリューション」との主張を続けているが、HD DVD陣営の牽引役である以上、早急に何らかのアクションが求められるだろう。
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