他社製品に類を見ない操作系も目を引くところ。タッチセンサー式のスライダーとボタンからなる「レーザータッチオペレーション」を採用しており、メニューの設定やズーム、顔検出のオン/オフといったカメラの設定を、スライダーに指を滑らせたりボタンにタッチしたりすることで操作する。
操作自体が楽しくなるよう、反応すると青く光るのもユニークだ。タッチセンサーは指の腹で触れなければ反応しないので、手袋をしている場合など使えない場面があるほか、メニュー画面をスムーズにスクロールさせるにはある程度の慣れも必要だが、ほかのカメラでは得られない操作感が楽しい。
マニュアル撮影の機能もひととおり用意されてはいるが、メニューのかなり奥の階層に置かれており、アクセスはかなり面倒。また、2.7型の液晶モニターが発色・画素数ともに控え目で、マニュアル操作を追い込むためのモニターとしてはやや力不足だ。撮影に凝るよりも、大容量の記録メディアへ気軽に撮りためる性格のカメラととらえるべきだろう。
撮影した動画の再生時は、選択したクリップ以降を5秒ずつ再生するダイジェスト再生や、タイトル画面も追加可能な簡易編集などの機能が利用でき、カメラだけでひととおりの操作を行なえるのも、PCでの編集や保存に自信のない初心者ユーザーにはうれしい。
また、YouTubeへのアップロードを容易に行なえるのが面白い。編集機能のひとつとして、フルHDモードで撮影した動画を、カメラ内部でYouTubeへのアップロードに適した形式へ変換出力する機能を備えているほか、YouTube用の撮影モードも備え、付属ソフトとの組み合わせで簡単にアップロードまでを行なうことができる。iTunes用の出力にも対応し、撮影した動画を簡単にiPodへ持ち出せるのも、ビデオカメラの利用シーンを広げてくれる機能として歓迎したい。
肝心の画質は、本体がコンパクトなだけあって、暗いシーンに弱い傾向は否めないが、最高画質では24Mbpsと高いビットレートを使えることもあり、日中の屋外など明るい場所であれば、精細さは十分だ。
試用した限りでは、フォーカスの迷いが少なく、意図した被写体にきちんとピントを合わせてくれるシーンが多かったのも好印象だ。さらに、今回から搭載された顔検出機能は、フォーカスと明るさに対して有効で、逆光ぎみの被写体でもうまく効いてくれる。顔検出のオン/オフをボタン一発で手軽に行なえるのも便利と感じた。
GZ-HD320は、大容量の記録メディアを内蔵しつつ、できるだけコンパクトなカメラを望むユーザーに向いた1台だ。販売店によっては7万円台で売られているところもあり、価格が手ごろなのも見逃せない。PCを使わずに編集や保存を行なう手段が明示されており、初めてのビデオカメラとして安心して選べることも、初心者ユーザーには重要なポイントだろう。
作例について、静止画は1920×1080ピクセル/ファインにて、動画は最高画質の「UXP」モード(1920×1080ピクセル/24Mbps)、撮影モード「オート」にて撮影した。前述したよう、動画ファイルはEDIUS Pro 5やPremiere Elements 7でも読み込みが行えなかった。プロファイルのどこかがソフト側の許容上限を越えていると想像される。
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