それでは次に、天井に設置して下に向けて照射した場合の光り方を比較してみよう。今回の実験では、天井高2.8メートル、テーブルの高さ74センチの環境で撮影した。いずれの写真も、カメラのシャッタースピードを1/4、露出値は6.3、色温度は4000ケルビンにセット(風呂場での撮影はシャッタースピード1/13、露出値は5.6)して撮ったものだ。
まず光の回り方だが、白熱灯は全体的に上部を中心に広がっており、天井自体もかなり明るく照らしているのが分かる。シャープ、東芝、パナソニックはいずれも似たような配光で、白熱灯よりは明るいエリアがわずかに下の位置に寄っていた。NECだけは照らす位置が下に下がっており、上部にはほとんど光が回っていない。スポット光のエコリカに似た傾向だが、エコリカよりは広範囲に拡散している。
次は色を見てみよう。色温度を固定しているので違いが顕著に出ている。今回、取り上げたLED電球は、どれも白色系のものなので、白熱灯に比べて色は大きく異なるが、中でもパナソニックの青さが目立つ。印象としては、パナソニックが昼光色で、ほかが昼白色という感じだ。
次はテーブルに寄って果物を撮影してみた。エコリカはスポット光ということでもっとも明るく、全体写真では暗い印象のあったNECも、テーブルの上に限れば十分に明るく照らしていることが分かる。残る3つの中では、やはりパナソニックに青さを感じる。LED電球の中でもっとも色が鮮やかなのは、個人的には東芝だ。自然な色で、明るく暖かい色合いだと思う。
最後に、ロケーションごとに最適な製品を選んでいこう。まず、食卓に使うなら、明るめで暖かい発色をする東芝がおすすめだ。シャープは少し黄色が多めに出るので、料理を照らすならすっきりと鮮やかな東芝のほうに魅力を感じた。
NECは写真を見ると分かるが配光が独特なので、リビングなどを広く照らす用途には適さない。シャープ・東芝・パナソニックに比べて全光束も小さく、実際に見た印象でも暗めに感じた。部屋の明かりというより、読書灯などで手元を明るくしたい場合に有効だろう。
これはエコリカにも同じことがいえる。エコリカの場合は“スポット光”とカタログではっきり銘打っているので、正面方向には実に遠くまで光が届く。その分、ほとんど拡散しないので、使う場所はよく考える必要がある。
4製品の中で密閉形器具に対応しているのはパナソニックだけ。浴室などにはパナソニック製品を使うことになりそうだ。これを白熱灯と比較すると、写真ではやや暗めに見えるものの、実際に見ると実用上は問題ない明るさだ。パナソニックは全長が短めで、ヒートシンクもなく発熱も少ないので、白熱灯とリプレースする際もあまり問題は起きないだろう。
LED電球はまだまだ発展途上なので、このように同じ条件で比較してみると、違いがよく分かる。製品購入時には、メーカーごと、製品ごとの特徴を把握して、利用する場所に合ったLED電球を見極めたい。
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