続いて3Dを視聴する。
まさにこれ。筆者が3D映像に求めていたのは、この迫力だ。
100インチスクリーンを3メートルくらいの位置で視聴すると、視界は上下で1/2、左右で2/3程度が映像空間となる。ここまで視野の大半がスクリーンになると、3Dコンテンツは別次元の迫力を有するようになるのだ。映像が手に触れられそうなほど飛び出してくるし、奥行き感もリアリティーを高く感じ取れるようになる。
今回の視聴には、ソニーが提供してくれたサンプルディスクを活用させてもらったが、なかでも驚きだったのが、「スパイアニマルGフォース」の花火が飛び交うシーンだ。この映画、シネスコサイズで撮られた作品であるため、16:9のスクリーンで見ると当然のごとく上下に黒帯が入っているのだが、花火が縦横無尽に飛び交うシーンになると、画面をはみ出し、この黒帯部分まで火花が飛び散ってくるのだ。最初は本当に火花が飛び出してきたのかと錯覚したほど。3Dコンテンツではこういった演出もできるのかと感心した次第だ。
一方、3Dならではの弱点もある。1つはやはり、画面の明るさだろう。3Dコンテンツはシャッター付きのサングラスを利用するため、画面の明るさがどうしても足りなくなる傾向がある。液晶テレビに比べて絶対的な明るさが低いプロジェクターならではの弱点が、VPL-VW90ESでも露呈した。ホワイト側のピークが足りず、白がグレーに見えてしまい、映像表現のダイナミックさが削がれてしまうのだ。これは、「3Dメガネ明るさ設定」項目によりある程度の調整はできる。明るいポジションを選ぶことで、明暗コントラストを多少改善することができるが、同時にクロストークと呼ばれている(別の目用の)残像が目だってくるようになるため、その活用はケースが限られてしまう。すべてがうまくいくというわけではない。
もう1つ、このクロストークに絡んで、プロジェクターならではのセッティングの難しさもわずかながら味わった。今回の視聴では、理想的なポジションから少し外れた、使い勝手優先の設置場所を選び、レンズシフトでフォローしたが、2D映像では万全だったこのセッティングも、3Dになると多少の問題が生じてくる。スクリーンの下端から20センチくらいにクロストークが表れてしまうのだ。試しに前後や上下に本体を移動したところ、上下方向に動かすことで改善が図れることが分かった。さらにセッティングを詰めれば、この問題は解決できるだろうから、それほど大事はないが、大画面で3Dを満喫するためには多少の努力が必要となるのも事実だ。
総じていえば、VPL-VW90ESはテレビとは別次元の迫力をもつ3D映像を満喫させてくれる、魅力的な製品といえる。明るさやクロストークに絡み多少のクセがあるものの、一度大画面の3Dを体感すれば、多少の苦労などふっとぶことだろう。2Dコンテンツも含め、さまざまな映像を大いに楽しませてくれる優秀機である。
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