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インタビュー
» 2011年02月03日 10時22分 公開

iPod touchは携帯型ゲーム機の新たな地平を切り開けるか?iPodの生みの親に聞く(2/3 ページ)

[林信行,ITmedia]

ゲーム機としての「iPod touch」

―― 従来の携帯型ゲーム機の愛用者で、まだiPhoneやiPod touchで、真剣にゲームをしたことがない人達の中には、iPod touchは専用ボタンがないからゲームの操作が難しい、と思っている人が大勢います。

イング iPod touchをはじめとするiOS機器のゲーム操作は、開発者にとって真っ白な板のようなもので、ゲームの内容に応じて、開発者が最も相応しい操作方法をいかようにでも作ることができる、というのが特徴になっています。

 例えばゲームによっては、これまでのように両手を使ったデュアルコントロール(上下左右ボタン+1〜2個のボタン)や、ジョイスティックの操作にすることもできます。あるいはボタンが1個しかないゲームにすることもできます。スワイプ操作などジェスチャーを使ったゲームを作ることもできます。iOS機器は、左手側は何があって、右手側は何がある、といった特定の型に縛られることなく、まったく自由にゲームの操作方法を発明できるのです。これこそがマルチタッチの強さであり、開発者のクリエイティビティを刺激する真っ白な板が持つ強さなのです。

 もちろん、物理的な「操作感」を求める声もあるでしょう。そこで出てくるのが加速度センサーやジャイロスコープです。iOSではこれらのセンサーを使い、本体の向きを変えたり傾けたりといった操作でも非常に高い精度で操作が可能になっています。これは任天堂の「Wii」でも人気が実証された操作方法ですが、iPod touchではこれと同じような操作を、自らの手のひらの中に収まるゲームデバイスそのものに対して直接ほどこすことができるのです。

 このようにiOS機器のゲームは、非常に操作方法のバラエティが幅広く、豊かで、我々は開発者に、どんな方法でも、自分たちで最も相応しい方法を採用してください、と言っているのです。

―― 私もゲームロフトなどの海外製ゲームをよくプレイしますが、最近のiOSゲームの操作のしやすさには驚かされます。ただしその一方で、初期のiOSゲーム開発者の中には、すでに携帯型ゲーム機用に作られていたタイトルを、たいした工夫もせず、画面上に無理矢理使いづらい仮想コントローラーを表示して操作させるような移植をしていたのも事実で、その辺りから悪い第一印象を抱き続けている人も大勢いると思います。最近では“きちんと分かってる”ゲーム開発者も増えているのでしょうか?

イング AppStoreが誕生した2年半前と比べると、今のゲーム開発者は、もっといい操作を実現しないといけない、ということに敏感になっていると思います。

 Bop Itというハンドルのような形をしたアメリカのオモチャがあるのですが、これのiOS版ゲームでは、車のクラクションのようなボタンを押したり、おもちゃのラッパについた風船のような部分をひっぱったり、ガラガラのような部分を2本の指で回転させたりといった操作でプレイします。複雑な形、複雑な操作をした玩具をまるごと画面の中に入れて、ただボタンを押すだけに止まらない実際の玩具に近い操作が実現できるなんて、誰が想像していたでしょう。

 革新的なマルチタッチの操作を採用したiOS機器だからこそ実現できたのです。

 これがA/B、X/Yボタンやジョイスティックの操作では、なかなか本来の楽しさを再現できません。

次世代の携帯型ゲーム機と比べて

―― 今ちょうど、新世代の携帯型ゲーム機も登場して注目が集まっていますが、その中でiPod touchはうまく競合していけそうですか?

イング 我々は現在のiPod touchでも、これから先当面の間は、十分魅力を発揮して競合していけると思っています。

 技術的に見てもほかのモバイルデバイスと比べても、圧倒的に高い解像度を持つRetina DisplayやHD品質のビデオ撮影機能、ジャイロスコープ、モーションセンサー、そしてこれらを使って、滑らかな体験をつむぎだすA4プロセッサといったハードウェア技術を結集し、その一方でマルチタスキングやフォルダ管理、AirPlay、AirPrintといった先進機能を搭載したソフトウェアのiOS 4、さらにはBeatlesの曲から映画のレンタルまで幅広いコンテンツがそろうiTunes Storeと、すべてがiPod touchに大きな魅力を与えており、これが非常に幅広い人々の心を捉えているのです。

―― 確かに利用の幅の広さはiPod touchならではの強みですね。では、ゲーム機能だけにフォーカスして比較するとどうでしょう?

イング 最近の売り上げを見ても、Nintendo DSやPSPを抜いて最も売れている携帯型ゲーム機として成功しています。それではもう1度、さきほど紹介した機能をゲーム機として評価し直してみましょう。

 まずはRetina Display。これはモバイル機器としては最も高解像度なディスプレイの1つですが、それは任天堂やソニーの最新ゲーム機の発表によってもゆるぐことはありません。このディスプレイのおかげで、iPod touchのゲームのほうが、よりシャープで鮮明な画像で楽しめるのです。

 そして6軸ジャイロやマルチタッチの操作も、これまでになかったゲームの操作を可能にしています。A4プロセッサーの性能も無視できません。多くの人はA4プロセッサーの処理性能を数年前の据え置き型ゲーム機のCPUと比べています。それだけの性能がこのiPod touchのような薄いデバイスに収まっているということは、驚き以外のなにものでもありません。これらすべての技術が、最高のゲーム体験をつむぎだすために用意されているのです。

 いえ、それだけではありません。フロントとリアの2つのカメラのおかげで、例えば拡張現実ゲームのような新しいジャンルのゲームも誕生しています。携帯性も大きなアドバンテージでしょう。実際に、この薄くて小さなiPod touchを、ほかの携帯型ゲーム機と比べてみてください。ほかの携帯型ゲーム機が、スルっとポケットに入るでしょうか。

 Nintendo DS iや3DSの容積は、iPod touchと比べると4倍以上です。最もいいゲーム機とは、プレイしたい時にいつでもプレイできるゲーム機、つまりポケットに入れっぱなしにしておいても気にならないゲーム機ではないでしょうか。

 そして、なんといっても重要なのは、やはりゲームそのものです。ご存じのようにApp Storeは、つい最近、10億ダウンロードを突破しました。実はそのうちの7億ダウンロードはここ12カ月の間に行われました。そして現在、AppStoreには35万本のAppsがありますが、そのうちの20万本はここ12カ月の間に登場したものです。

 この勢いのすごさは無視できないでしょう。そして重要なのが、その中でのゲームタイトルの数で、現在8万本のゲームタイトルがあります。また、これらのゲームのうちの多くは無料で提供されていたり、有料だとしてもほかのゲーム機と比べて圧倒的に安価に購入できる点も忘れてはいけません。

 安価なゲームが数多くあるという点にも関係があるのですが、Nintendo 3DSのような最新の機器を見ても、いまだにゲームの流通をカートリッジで行っていることは驚きです。

 これは持ち運びの点で考えても非常に不便でしょう。iPod touchであれば1つのフォルダに収まってしまう十数本のゲームに、これらのデバイスでは大きな入れ物が必要になってしまいますし、プレイしたい時に、プレイしたいゲームを見つけ出すのも大変です。また、間違ってなくしてしまったら一大事になってしまいます。しかも、このカートリッジのために、ゲームの値段は、ともすれば10倍近くなってしまう。我々はAppStoreのような電子流通がゲームの未来になると信じています。

―― 子供にプレゼントとしてゲームを手渡ししたい、という人もいるでしょうが、そういう場合はiTunes Gift Cardをあげればいいですしね。

イング その通りです。そうすれば、子供のほうで、ゲームだけでなく、映画や音楽といったコンテンツを含めて、本当に欲しいモノを選んで手に入れることができます。

 さて、ゲーム機としてのiPod touchの魅力について、3つ目はゲーム開発者たちがiOSとAppStoreをターゲットに、非常に革新的なゲームを作り始めている、という事実だと思います。

 App StoreのゲームはiPod touchだけのものではなく、iPhoneやiPadといった同じiOSを搭載したほかの機器でもプレイできます。これら3つのiOS機器は、それぞれが人気で売れ行きも好調です。

 アップルのiOS戦略は、非常にうまく統合された戦略です。どういうことかというと、ライバルのAndroid用アプリケーションですと、機器ごとに用意されているボタンも違えば、仕様も異なるので、アプリケーションによって動いたり、動かなかったり、動いたとしても、操作した感じが違うということがよくあります。

 一方、iOSファミリーの製品では、そうした心配がありません。前四半期のiPhoneは1600万台売れましたが、これは前年同期比で80%増し、業界の水準を大きく上回るものでした。日本はさらにすごくて1年前と比べて出荷台数は2倍に達しています。成長いちじるしいiPhoneの世界標準と比べても、圧倒的に速いのです。

 また、iPadは前四半期700万台売れました。iPadはいわゆるタブレット製品という市場を築き、今でもその中で支配的な立場にあります。そして、これにiPod touchを加えて、iOS機器全体ではついに1億6000万台ものプラットフォームになったのです。

iPhone 4やiPadの存在も、ゲームプラットフォームとしてのiOSの魅力を高めている

 これは、これまでに売れたどのゲーム機よりも多い台数です。Nintendo DSよりも多く、Playstation 2よりも大きな数字です。この数字があるからこそ、多くのゲーム開発者もiOS機器に可能性を感じ、すばらしい革新的なゲームを提供してくれるのです。

 それでは、ここでそのいくつかをショーンに紹介してもらいましょう。

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