では、肝心のサウンドを確認しよう。まずはスピーカー出力から。
さすがSN比120デシベルを誇るだけあり、ノイズレベルの低い、澄み渡ったサウンドだ。ダイナミックレンジも幅広く、抑揚感に富んでいる。ロックなどを聴くと普段よりもいくぶんメリハリが増したかのような、ダイレクト感の高いサウンドが楽しめた。解像度感も悪くはないが、どちらかといえば勢いのよさで聴かせるタイプである。
それにしても、ヘッドフォンとライン出力でボリュームを2つ用意するのは、アレコレ試したいPCオーディオファンにとってとても便利だ。今回の視聴にはアンプにCarot One「ERNESTOLO」、スピーカーにELAC「BS52.2」を用いたので機能的には問題なかったが、ヘッドフォンはもちろん、スピーカーも手元でコントロールできるのは使い勝手がよかった。例えばスタジオモニター系のパワードスピーカーは、ボリュームコントロールが左右独立だったり、背面にあったりもする。そういった機器を活用したいなら本機は重宝しそうだ。また、最大600オームのハイインピーダンスヘッドフォンにも対応してくれるのも今後のPCオーディオ趣味の拡張において安心できる。
最後にアップサンプリングモードを。こちら有効にすることで、そのサウンドバランスがふっと変化する。高域側の倍音成分がきれいに整ってくれるようになるのか、ずいぶん伸びやかで、広がり感のあるサウンドへと変化し、解像度感へのわずかな気にかかりもまったくいっていいほどなくなってしまった。
この手の機能、オーディオにおいてはあえて避ける人も多い傾向だが、8倍サンプリング、しかも整数倍のアップサンプリングを行うことにこだわった結果か、解像度感や音のピュアさはほとんど変化せず、伸びやかさや広がり感が増した。これは、主観的に聞いてもかなり変わったぞ、効果的に機能しているぞと感じたほどだ。
というわけで、「Xonar Essence One」は実売価格以上のサウンドクオリティが得られるであろう、かなり優秀な製品だ。
PC周辺機器としてはやや大柄だが、それは整理整頓程度のちょっとした工夫で何とかなる。豊富な出力端子、独立した2つのボリューム調整、予想外に効果的だった8倍アップサンプリング機能とともに、当初からやや高スペックなものからPCオーディオをはじめたい人やPCオーディオを本格的にのめり込みたい人にとても有力な候補としてほしい1台だ。
音質評価 | Xonar Essence One |
---|---|
解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−○−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
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