さて、肝心のサウンドはいかがだろうか。まずはデフォルトのオペアンプ、JRC「MUSES8820」のままで試聴をスタートした。
システム的には、入力段が真空管、出力段がソリッドステート(オペアンプ)となっており、いわゆる“ハイブリッド”と呼ばれる方式だが、真空管のキャラクターが結構際立っているイメージ。自然で丁寧なイメージのサウンドで、音楽を心地よく聴かせてくれる。なかでも人の声が魅力。女性ボーカルが、ややカスレ気味ながらもつやっぽい、生き生きとした歌声に感じられる。どちらかというと、ジャズやクラシックなど、アコースティック系がメインの人に好まれそう。そのいっぽうで、フロアノイズの高さが気にかかる。
そこで、オペアンプをいろいろと交換してみた。まず、付属のBurr Brown製「OPA2604」へと交換してみると、シャープでフォーカス感の高いサウンドに変化。暖かみという点ではやや減退するが、真空管ならではの丁寧な表現はしっかり感じられるし、相性はこちらの方が良さそうだ。
続いて個人所有の「OPA2604」を試すと、さらにかっちりとしたサウンドに。ノイズレベルも低く、なかなかに好印象だ。そのほかにも、いろいろ試してみたが、最も相性がよかったのはJRC「MUSE01」だ。真空管ならではの自然さが生かされつつも、フロアノイズが最も低減、SN感も良くなってくれるため、演奏のメリハリがしっかりと伝わってくる、距離感の近いサウンドが楽しめる。総じてバーブラウン系、またはJRCのFET系との相性が良さそうだ。
このように、“真空管ポタアン”としてはリーズナブルな価格ながら、真空管らしさを十分に享受できる製品に仕上がっている。また、オペアンプを替えられるなど、趣味的な要素を持ち合わせている点もうれしい。一度真空管ポタアンを使ってみたいという人にとっては、なかなかに魅力的なモデルだ。
音質評価 | 「TU-HP01」(標準構成) |
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解像度感 | (粗い−○−−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−−○フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−○−−質感重視) |
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