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薄型テレビ購入ガイド、個性派ぞろいの40インチ台!本田雅一のTV Style

» 2013年07月01日 20時23分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 前回のコラムでは「え? 32インチのフルHD機はLGだけなの?」と驚いた読者も多かったようだ。それと同時に「なぜ(ほかのメーカーは)やめる?」という、怒りの声もボクのところに届いたのだけど、メーカーの製品ラインアップというのは、基本的に消費者ニーズが投影されたものだ。

 フルHD機が32インチクラスから消えたのは、32インチでフルHDが必要ないとメーカーが考えているからでも、32インチフルHDで使いたい消費者が存在しないからでもない。価格重視の購買者数が増え、パネル解像度などのスペックに対して余分な予算をかけようと考える人が少なくなったからだ。

 もっとも、そうやってトレンドが変化し、やっぱりフルHDモデルが32V型でも欲しいという声が出てくれば、そこを狙うメーカーも登場する。LGだけが32V型フルHDを提供しているのは偶然ではなく、(前回のコラムでも触れたように)あえて日本市場でのプレゼンスを高めるためにラインアップしている。

 これも消費者ニーズと商品トレンドの一連の動きと考えるなら、またそのうち揺り戻しもあるだろう。……と、前置きが長くなったが、今回はリビング向けテレビとしては流通の中心になっている40インチ台の製品について話をしよう。

個性で選ぶ40インチクラス

 40インチ台で“甲乙”つけがたいのが、ソニーのブラビア「W900Aシリーズ」(40V型と46V型があるが、筆者が視聴室でチェックしたのは46V型)と東芝レグザの「Z7シリーズ」(42V型と47V型があるが、筆者がチェックしたのは47V型)。ただし甲乙つけがたいのは総合力であって、個々の個性はまったくといっていいほど違う。

ソニーの「KDL-46W900A」。4倍速パネルを採用し、上位機の4Kテレビと同じ「トリルミナスディスプレイ」と組み合わせた

 「W900Aシリーズ」は、トリルミナス技術による広色域再現と、定評あるデータベース型超解像の「X-Reality Pro」、それにVA型ならではの正対位置から見た際のコントラストの高さなどが魅力といえる。トリルミナスを単純に派手な方向に、X-Reality Proの設定を分かりやすくクッキリハッキリ見せるだけに使っている画質モードもあるが、「シネマモード」のマナーはたいへん良い。

 シネマモードには、ソニーが提唱する「Mastered in 4K」の特性に合った超解像モードが用意されていたり、トリルミナスを生かせるx.v.Color時の色再現の良さなどは、これから増えてくるだろう高品位Blu-ray Discソフト(4K以上の高解像度シネマカメラで撮影された映画など)で威力を発揮してくれるはず……だが、そこまでこだわらなくても、きっちりイイ絵で出してるね、と素直に喜べるのがこのモデル。とりわけ、自然な赤の階調感が気持ちいい。

東芝レグザの47V型「47Z7」。アルミフレームを用いたシンプルでスタイリッシュなデザインは、ヤコブ・イェンセン・デザインとのコラボレーションにより生まれたもの

 一方、東芝のレグザ「Z7シリーズ」は、ここ数年、東芝が提案してきた「テレビの楽しみ方」を味わうための最短距離、もっとも分かりやすくお買い得な製品として用意されているテレビだ。HDDを搭載していないのに、チューナーだけはたくさん搭載(タイムシフトマシン用に地デジ×6、さらに視聴と通常録画用に地デジ×3、BS/CS110度×2)。USB外付けHDDを接続するだけで、時間をさかのぼって番組を楽しみ、その番組を通じて別の番組を知り、好きなタレントを追いかけながら視聴できる。「ざんまいプレイ」とはよくいったもので、いわゆる全録機能がにわかに増えそうかな? という時代にあっても、その見せ方には一日の長がある。

 誤解しないでいただきたいのは、だからといって画質がおろそかになっているという話ではない。テレビとはテレビ放送を楽しむためのものであり、見たい番組との出会い、面白そうだとあとから知った番組の視聴などとを通じて、テレビの面白さを知るチャンスを増やすところにZ7の特徴があるという話だ。また、家族みんなで色々な場所からテレビを観るのなら、Z7の液晶パネルが広視野角なIPS方式である点は見逃せないと思う。

パナソニックが4月に投入した「FT60シリーズ」もシンプルかつスタイリッシュ。47V型と42V型のほかに60V型、55V型もある

 というわけで、40インチクラスではこの2モデルが頭抜けている印象だが、やはりIPS液晶で広い視野角を持つパナソニックの「FT60シリーズ」も次点に挙げておきたい。以前はローカルディミングの使い方がこなれていない印象だったが、かなり積極的にバックライトを動かしつつも、明らかにおかしなバックライトの動きは大幅に減った。絵作りもプラズマ上位モデルに近くなり、選択肢として上位に入るモデルになったといえるだろう。

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