パーツの両面実装が可能になったことで、信号伝達経路も短縮できた。今回はフィルターなどの回路もメイン基板に持ってきたためパーツ点数は大幅に増えているが、基板自体は逆にコンパクトになっている。さらに、ヒートシンクや大型ブロックコンデンサー、抵抗器などもリニューアルしたほか、「もちろん、はんだはES専用の無鉛はんだ」(同氏)。こうした変更により、従来の「広帯域パワーアンプ」に比べて20%の広帯域化を実現したという。
シャーシも新しい。「STR-DN2030」では、「TA-DA3400ES」(2008年)のときに作成したシャーシを流用しているが、今回はビームと呼ばれる補強用のエンボス加工を増やしてトランスや脚部をしっかりと支える構造にしたほか、放熱用のスリットも大幅に増やした。「単純に穴を開けただけでは共振が発生してしまうため、1つずつスリットのサイズを変えている。シャーシの剛性アップは音のスピード感に効く」。
本体を支えるフットは、固有振動を避けるためにわざと中心部をずらしたオフセット設計。放射状に伸びる補強用のリブも、すべて厚さを変え、共振周波数を散らすことで、スピーカーからの音圧がAVアンプの内部に影響を与えないようにしている。
音質評価についてはレビュー記事を参照してほしいが、両機に携わった開発者の意見も聞いておきたいところ。「上位機には物量があり、そのために出せる音がある。ただし、STR-DN1040もシャーシの強化などを生かした音があり、それを楽しいと感じてもらえると思っている。例えば、低音のしまりはSTR-DN1040のほうが上」(渡辺氏)。
最新トレンドを盛り込んだSTR-DN1040は、手軽さとコストパフォーマンスが魅力だ。しかし、上位機のネットワークエンジンを持つSTR-DN2030のお買い得感も健在で、とくにネットワークオーディオ再生のためにAVアンプ導入を考えている人には魅力的だろう。
もっとも、冒頭でふれたように2製品とも実売6万円以下のAVアンプだ。この価格帯で“選べる”、しかも“迷える”レベルにあることは、AVファンにとって幸せなことだと思う。
型番 | STR-DN2030 | STR-DN1040 |
---|---|---|
実用最大出力 | 150ワット×7ch | 165ワット×7ch |
HDMI入力/出力 | 8出力/2出力 | 8出力/2出力 |
4K対応 | パススルー/アップスケール(アナログ入力) | パススルー/アップスケール(アナログ入力、HDMI入力) |
MHL | なし | 前面に1系統 |
Bluetooth | なし | 内蔵 |
Wi-Fi | なし | 内蔵(有線LANと排他利用) |
対応アプリ | ESリモート | Network Audio Remote、TV Side View |
外形寸法 | 430(幅)×383(奥行き)×162(高さ)ミリ | 430(幅)×329.4(奥行き)×172(高さ)ミリ |
重量 | 12.2キロ | 10キロ |
価格 | 販売中 | 7月20日 |
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