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「LINE」で家電を操作する未来がやってきた! 滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/2 ページ)

» 2014年06月18日 18時32分 公開
[滝田勝紀,ITmedia]
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 ファン・ジェソン氏によると、対応する冷蔵庫は冷蔵庫内を撮すカメラを搭載しているため、扉を閉めるたびに最新の庫内の写真が保存されるという。「スーパーなどで買い物する時に、冷蔵庫に“中身を見せて”と『LINE』で入力すれば、いつでも『HomeChat』を通じて冷蔵庫の中身を知ることができます。また、冷蔵庫に搭載されているスマートマネージャーという管理システムに、自分で日頃から在庫などをメモしておけば、その内容を『HomeChat』が『LINE』経由でいつでも教えてくれたり、ヘルスマネージャーに自分や家族のプロフィールを登録しておくことで、健康的に過ごせる1週間の食事スケジュールなどを挙げてくれたり、使い方はさまざまです」(同氏)。

冷蔵庫の中を撮影するカメラ

 そのほかの洗濯機やオーブンレンジはどんなことができるのか?

 「洗濯機の場合は、例えば外出先から家に向かう際に、“洗濯しはじめて”と『LINE』に入力すれば、自動的に家に帰るまでの間に洗濯を完了させてくれたり、“なにしてるの?”と入力すれば、現在の状況、例えば洗濯しているのか、脱水しているのか、乾燥しているのかなどを随時教えてくれます」。

 オーブンレンジの場合は、レシピも提示してくれる。「例えば、外出先から“今から帰るね”と『LINE』に入力すれば、オーブンレンジが『HomeChat』を通じて、“今日はなにを作るの?”と聞いてきて、レシピを選択できる画面を表示。特定のレシピを選択すると、予熱などを開始して準備ができた状態でスタンバイしておいてくれるといったことが、会話を通じて行われます」。

洗濯機に「なにしてるの?」と聞くと現在のステータスを教えてくれる

 こういったことが「LINE」を通じてできることは面白い。しかし一方で、「LINE」でスムーズな会話を成立させる場合には、必然的に家電が人間のようにスムーズな会話を展開する必要があるはず。ただ、人間の文字入力や会話というものは、個人によって、意味は同じでも、言い方がまったく異なるのも事実だ。

 例えば、「洗濯をはじめてもいい?」と、洗濯機が「HomeChat」経由で話しかけてきた時に、ユーザーは、「はい」「OK」「お願いします」「はじめていいよ」……などなど、同じ「Yes」の返答をするにも、さまざまなバリエーションが発生する。こういった曖昧な言語表現を、いかに正しい形で家電が認識するかを実現するのは、一筋縄ではいかなかったはずではないだろうか。そのあたりの言語処理の仕組みについても聞いた。

 「LG Electronicsには、『QVoice』という、スマートフォンで採用する高精度な言語処理システムが存在しており、今回、『HomeChat』が自然な言語処理を可能にするにあたり、この『QVoice』のデータをベースに開発を進めました。これらは基本的にスマートフォン上、音声でやりとりされるものではありますが、クラウド上でそれらのデータはすべてテキスト化され、データとして蓄積されています。だから、『HomeChat』への応用というのは難しいものではありませんでした。さらにそれだけではサンプル数が十分でないと考えていて、今後は『HomeChat』に仮想モード(実際に家電とどのように会話が展開するかを体験できるモード)を用意し、そこで、ユーザーたちがどのような言葉でやりとりするのかを、情報として収集することで、さらに会話の精度を高めていければと考えています」(ファン・ジェソン次長)。

 これだけ精度の高い仕組みによって開発される『HomeChat』だからこそ、今後、日本をはじめ、世界中でいつ頃から使えるようになるのかも気になるところだ。

 「まずは現在サービスインを考えている地域は、韓国以外だと台湾、スペインなどが有力です。これらの国は『LINE』が浸透しているとともに、LG Electronicsの家電品がすでに国内でかなり普及している国だからです」。ちなみに、同社はHomeChatの普及にあたり、以下の3つの条件が不可欠であると考えている。

1、LG Electronicsの家電品の普及

2、「LINE」が活性化している

3、自然言語の処理準備ができているか



 「最初に挙げた2カ国は、すでに1と2がそろっているので、あとは3の言語処理をどう開発していくかで、サービスインできると思います。今現在、言語処理についてはハングルと英語のみが実用段階まで開発されています。さらに米国の場合は、1と3はそろっているものの、2の条件が足りないと考えているので、これについては、われわれがどうにかできる問題ではありません。今後の展開次第といった感じでしょうか? 日本についても気になると思いますが、日本は2は台湾やスペイン以上にユーザー数も多いですし、すでに認知されているものの、1がまだまだこれからであるのと、3については、言語が複雑であるため、ハードルが高いと考えています。でも、今後の状況次第では可能性を視野に入れていきたいですね」。

 一方、韓国国内では今後、どのような家電が「HomeChat」につながっていくのだろうか。「今年中にさらに、テレビなどのマルチメディア関係や照明にもつなげようと準備をしています。さらに、すでにイメージ動画では描かれていますが、ロボット掃除機である『ホームボット』は、外出先から動かせるようにしたいです」。

 そのうち、家のなかすべての家電がスマホと「LINE」によって制御され、家電自体にボタンがなくなる!? なんて嘘みたいな日が来るかは未知数だが、少なくとも、今もっとも理想的なスマート家電である「HomeChat」の展開からはますます目が離せないと感じた。

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