一方、もう少し上の世代を狙ったと思われる新製品をティアックとオンキヨーのブースで見つけた。まずは久しぶりに登場するアナログターンテーブルだ。
ティアックの「TN-350」は、光沢仕上げのキャビネットにアルミダイキャスト製プラッターを配したベルトドライブターンテーブル。USBデジタル出力を搭載し、再生したアナログレコードの音をPCに取り込む機能を持っている。5万円前後で11月に発売する予定だ。オンキヨーの「LP-1050」は重厚感たっぷりのレトロ調デザインながら、こちらも5万円前後と見た目より低価格で、2015年春の発売を予定している。
40代〜50代男性に注目してほしいのが、オンキヨーのスピーカー「D-77NE」だ。1970年代から80年代にかけて大流行し、当時のオーディオ少年たちを夢中にさせた“大きな3Way”スピーカーを踏襲したルックス。思わず下にブロックを並べたくなる。
実は、オンキヨーは今年の春まで同様のテイストを持つ大型3Wayスピーカーを販売しており、カタログから消したばかりだという。すると多くのユーザーから復活を望む声が上がり、ハイレゾ音源に対応する新製品として企画し直した。価格や発売時期は未定だが、1本10〜15万円で販売したいと話している。
さらに上の熟年層は、時間と金銭の両面でもっとも余裕があり、オーディオ業界にとっても重要な顧客だ。しかし、他方でPCの扱いになれない人も多く、PCオーディオ中心のハイレゾ視聴スタイルが適さない面もあった。そうした熟年層にもハイレゾ環境に移行してもらうため、オーディオ協会のテーマ展示やメーカー合同の企画展示ではアイデアを振り絞っていた。
まず1階の受付近くには、従来のディスクメディアと同様に扱えるBlu-ray Discオーディオタイトルをずらり並べた。また、ファイルオーディオでも「ハイレゾで蘇るあなたのヒットチャート」など“懐メロ”タイトルの試聴デモブースを用意して人目をひいた。タイムスケジュールを見ると、「ハイレゾで蘇る石原裕次郎を聴く」「レコード、ハイレゾで美空ひばりを聴こう!」など、熟年層向けのタイトルがずらりと並ぶ。
さらに直接的に“価格”を全面に押し出したコーナーもあった。各メーカーのおすすめシステムを並べ、パネルの最も目立つ場所に総額を提示するという、これまでにはあまり見なかった手法だ。ハイレゾをフックに、システムの買い替えや買い増しを促進する試みといえる。
ハイレゾでにわかに活気づいてきたオーディオ市場。各ブースの担当者も表情が明るいような気がした。
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