本機のサウンドはスマートフォン「Xperia Z2」にBluetoothで接続して、CDリッピングやダウンロード購入した楽曲のほか、TIDALのストリーミングサービスで配信されている楽曲を中心に試聴した。
Jackson 5のアルバム「Live At The Forum」から「I Want You Back」では、分厚く迫力たっぷりのサウンドが楽しめた。弾けるような低域のリズムとエネルギッシュなボーカルが生き生きと押し出されてくる。かたや音像の定位感が強調され過ぎず、自然な空間の広がりを感じられるのが良い。ライブ盤ならではの会場の熱気もしっかりと伝わってきた。人の声は稜線が明瞭(めいりょう)で伸びやか。エレキギターのカッティングも立ち上がりが鋭く濃密な余韻に包まれる。シンバルやライドの高音は響きがしっかりと制動され、ビシバシと歯切れ良くきまる。
ジャズはJulia Fordhamのアルバム「China Blue」からタイトル曲の「China Blue」を聴いた。太く引き締まったウッドベースが暖かみあふれるグルーブを紡ぎ出す。ふわりと広がった余韻が自然に減衰して空気に深く溶け込んでいく。ギターソロは明るくきらびやかなトーンだが、高域がきつくならず柔らかいタッチで描かれる。ボーカルの声には余計な付帯音がのらず、ハスキーな声質を特徴とするボーカリストの歌声の魅力が開花する。
男性ジャズボーカルもジル・スコット・ヘロンの「SECRETS」から「A Prayer For Everybody/To Be Free」を聴いてみた。ボーカルだけでなく、ローズピアノが奏でるメロディラインをふくよかに、しかも雑味なくクリアに再現する。ドラムスのキックは量感とスピード感のバランスが絶妙に取れている。けだるい雰囲気の中に引き締まった緊張感が見え隠れする、とてもセクシーな演奏だ。
ミロシュ・カルダグリッチの「Latino Gold」からクラシックギターによるソロ演奏「Barrios Mangore:Un Sueno en la Floresta」では、アコースティック楽器との相性の良さも確認できた。指先の動きを正確にトレースしながら、パンチの効いた生命力がみなぎるようなトレモロ演奏だ。音が一粒ずつキリッと立って聴こえるような快活さがこのヘッドフォンの魅力なんだと思う。余韻成分もふくよかで濃厚。ひずみのないサスティーンが消え入り際までグンと伸びる。
「JBL EVEREST ELITE 700」は、原音再生に対して忠実なスタンスを取りながら、楽曲の聴かせ所をしっかりと楽しませてくれる音楽性も豊かなヘッドフォンだ。得意な音楽ジャンルの偏りは感じられないが、あえていうならスマホによるアウトドアリスニングをメインに想定したメリハリのあるサウンドが、ロックやジャズ、EDMにポップス系のサウンドと特に相性が良かったように感じられた。アプリのユーザーインタフェースはシンプルで操作感も上々。強弱が調節できるノイズキャンセリングやオートキャリブレーション機能の効果も分かりやすく実感できた。JBLが提案する新しいポータブルリスニングのスタイルがここに極まった。
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