すごいレンズが登場した。パナソニックが放つライカブランドの「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.」は、35ミリ版換算で200mm〜800mmという、超望遠撮影が手持ちで可能になるコンパクトなズームレンズだ。気軽に携行できるサイズなので、今まででは考えられなかったテレフォト撮影が楽しめるはずである。
35ミリ版換算200mm〜800mmという超望遠ズームレンズなのに、レンズ単体で約985gという驚き重量なので、「LUMIX DMC-GX8」に装着しても楽々振り回せる。レンズの仕上がりもライカテイストで、フォーカスおよびズームリング周辺などのフォントもフォトグラファーをやる気にさせてくれる仕様だ。
レンズ構成はED非球面レンズ、UEDレンズを各1枚、EDレンズを2枚採用し、F値はF4.0〜6.3を実現している。このクラスの超望遠域になると手ブレが大いに気になってくるところだが、手ブレ補正「POWER O.I.S.」と、GX8の6コントロールによる手ブレ補正機能「Dual I.S.」とで、800mm付近でも安心してシャッターを切ることができた。これは嬉しい。今回は三脚を使わず全て手持ちでの撮影だったが、手ブレ知らずでイメージ通りの写真を撮ることができた。
写りもコンパクトさを考えるととてもいいものだった。単焦点の超望遠レンズと比較すると開放値が暗いが、日中の屋外撮影ではそれはほとんど問題にならなかった。むしろズームという焦点距離を自由に変化させられるメリットの方が大きく、フレーム内で被写体の大きさを微妙に調節できるのが嬉しい。そのズーミングだが、ほんのわずかにスムーズでないのが気になった。
オートフォーカスもGX8と組み合わせると高速で、動体の撮影もAFエリアを適切に設定すれば確実に捉えることが可能だ。描写もなかなかよく、テレ端では1つ絞ってやればシャープさもググッと立ち上がり、キリリとした絵を手にすることができた。防塵防滴、しっかりとした回転式三脚座と造りもなかなかいい。あえてウィークポイントを挙げるとすると、引き出し式の内蔵フードだろうか。全長が短くやや頼りないので、別売りの大型フードを購入して装着したいものだ。
このサイズ感で35ミリ版換算200mm〜800mmの眼を手に入れられるのはとても素晴らしいことだ。マイクロフォーサーズユーザーならば、カメラバッグに常備しておくと人と違った写真を撮ることができるはずである。
瀬戸内の島々とそれを結ぶ橋をワイド端で。日没時の微妙なトーンと、春の暖かい空気感を捉えることができた。コンパクトなレンズはホールドしやすい。
同じ場所からテレ端で橋に迫ってみた。道路を走行するクルマや、欄干がしっかりと記録されている。このレンジを気軽に手持ち撮影できるのは驚きだ。
超望遠域ばかりクローズアップされる本レンズだが、ワイド端付近でのスナップ撮影もしやすい。オートフォーカスも高速で、人物からスポーツ、ネイチャー撮影などオールマイティーに使えそうだ。
縁側に干してある座布団類をワイド端で。布や藁の細かい質感、木戸の凸凹した様子まで見た目そのままに捉えることができた。
春の漁港の防波堤で釣りを楽しむアングラーをテレ端で狙う。大気が揺らいでいるためやや甘めの描写だが、釣り竿のガイドやタイル張りの灯台など、手持ちテレ端とは思えない写りである。
これだけの超望遠ズームレンズを気軽に携行できることがスゴい。サイズ感はフルサイズ用の70-200mm F2.8クラス以下なのだから。日常的にカメラバッグに入れておき、ロングレンジの被写体を見つけ次第すぐ撮影することができるのが嬉しい。
このレンズを持ち歩いていると、遠くの被写体が気になってくるようになる。思いがけないアングルやシーンを撮ることを考えながらブラブラ歩くのが楽しい。小田急線和泉多摩川駅付近の多摩川土手から、東名高速越しの田園都市線二子玉川駅と楽天本社を手持ちで撮ってみた。春の陽気で空気が揺らめいているのが分かる。
最大撮影倍率0.5倍(35mm版換算)というテレマクロ的な使い方も可能なので、ネイチャー撮影でも大いに活躍するレンズだ。フィールドを問わず、常に携行したいレンズになることだろう。
このレンズは軽量コンパクトなので、気軽に旅行にも持って行けるだろう。旅のシーンを、驚異的な超望遠ズームというパワーで忘れられないものにしてくれる。
同じ位置に立ちながら、ズームリングをグイッとひねってやるだけで、人間の見た目を遙かに超える写真を撮ることができるのがスゴい。しかも手持ちでイージーにでだ。望遠好きなフォトグラファーにはたまらないレンズである。
海に今沈まんとする真っ赤な太陽を、手持ち800mmで簡単に捉えられるのは本当にスゴいと思う。その描写もまずまずなのだから、インプレッションしていて欲しくなってしまうのがお分かりいただけるだろう。ぜひ、一度このテレ端を多くの人に味わっていただきたいものである。
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