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「体験型はもう古い」 リニューアルした日本科学未来館の狙いと新しい展示をチェック科学思考を日常へ(2/2 ページ)

» 2016年04月21日 06時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
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体験型はもはや古い 経験型、思考型の科学館へ

 日本科学未来館 展示企画開発課課長の内田まほろ氏は、「従来の科学館は来館者に展示内容を体験させる形式でした。未来館もオープン当初から今までは同様でしたが、『体験させるだけでいいのか』というのが開発チームの悩みでした。そこで、今回本格的にリニューアルするに当たって、『経験型』『思考型』の科学館を目指しました」と語る。

 「未来館の目的は科学をただ伝えるだけではなくて、来館者の皆さんが自らそれを考えて未来を作っていくという行動を促す、というところにあります。今回の展示はその促しをいかに設計できるかということを考えました。来館者の行動につながるステップとして、問いから始まり、問いを考え、行動する。という3ステップを設計のベースに置いています。そのステップを経ることで、展示と展示のつながり、例えば生命分野と理論物理の分野の展示は全然つながっていないように思うのですが、1つの問いでつながった展示に見えるようになります。来館者と未来館の中だけで経験を終えてしまうのではなくて、日常にもその経験を持って帰ってもらいたいです」(内田氏)

 体験型の科学館は楽しく科学に触れられるが、その場では楽しくても帰ったらすっと忘れてしまう、という課題を今回のリニューアルで改善したという。設計のベースである「問い・考え・行動」の「問い」の部分は、未来館を訪れたノーベル賞受賞者たちから来館者に向けて展示されている。

ノーベル賞受賞者たちから来館者への問い「ノーベルQ」 ノーベル賞受賞者たちから来館者への問い「ノーベルQ」
iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏からの問い iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏からの問い

 ホンダの二足歩行ロボット「ASIMO」の実演では、ASIMOが地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」を解説しながら、「人とロボットの暮らし」に問いを投げかける。ASIMOは片足ケンケンや、狙い通りにサッカーボールを蹴ってみせるなど、その動作の正確性、俊敏性を実演してみせた。ロボットが人の隣を歩く未来もそう遠くはないのかもしれない。

人とロボットは将来どのような関係になるだろうか 人とロボットは将来どのような関係になるだろうか

 

リニューアル記念で4月24日まで入場料等無料

 前の記事でもお知らせした通り、2016年4月20日から4月24日まで、リニューアルを記念して常設展入場料、ドームシアター鑑賞料ともに無料となる。開館時間は10時から17時で、休館日は毎週火曜日と12月28日から1月1日。入館料は大人が620円(税込、以下同様)、18歳以下が210円だ。

 危険はいつ我が身にふりかかるか分からない。10年後かもしれないし、明日かもしれない。危険が生み出される仕組みってどうなっているんだろう。未来の地球はどうあってほしいだろうか。そのためには今何をしたらいいんだろう。

 このようなことをどうやって考えるか、そしてどのような行動に移したらよいかということを新しい日本科学未来館は提示している。

ゴールデンウイークは混雑が予想されるが、その前週の24日までに行けば入場料等無料だ ゴールデンウイークは混雑が予想されるが、その前週の24日までに行けば入場料等無料だ
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