有楽町の「東京国際フォーラム」で7月28日、CATV関連技術の専門展示会「ケーブル技術ショー」が開幕した。8月にBSで始まる4K/8K試験放送に注目が集まる中、主催者テーマ展示では実際に8K試験放送をCATVの設備で伝送するデモンストレーションを行っていた。
今回のデモは複数搬送波伝送方式を用いている。8K映像は約100Mbpsだが(HEVC符号化)、CATVの1ch(6MHz幅)では最も効率の良い256QAM変調を用いても38.88Mbps(理論値)のため、到底伝送することはできない。そこで3ch分の搬送波を用い、100Mbpsを超える伝送速度を実現する。具体的には、256QAMで2波、64QAMで1波という構成だ。
実際の8K映像は、“試験放送のための試験”として実際にBS経由で放送されているもの。武蔵小山駅にあるJDSの設備で受信し、光回線を使って東京国際フォーラムまで伝送、会場内は同軸ケーブルの複数搬送波伝送方式となっていた。この方法であれば、CATV局は既存の設備を大きく変更することなく8K対応を果たすことができる。
映像に乱れなどは見られず、22.2chの音声信号と一緒に支障なく表示できていた。またHLG形式の確認用HDR(ハイダイナミックレンジ)情報が載っているコンテンツも見ることができた。従来型のテレビに表示しても違和感のないHybrid log-Ganma(HLG)を使用するという。
NHK放送技術研究所でCATV伝送システムを研究している遠藤洋介上級研究員によると、CATVでも2018年の8K実用放送開始を目指して関連技術の研究と規格化を進めているという。現在の課題は、受信機のサイズと次世代CASの規格化。事実、展示されていた受信機はモックアップで、展示台の下にあった本当の受信機は数倍も大きかった。遠藤氏は、「受信機についてはNHKとKDDI、J:COM、JDSが共同で開発を進めており、秋頃には次の試作機ができる」と話していた。
このほか、パナソニックブースでは55V型の8Kモニターを技術展示していた。業務用モニターとして開発を進めているもので、液晶パネルはIPS方式。広色域規格のBT.2020には対応しているが、HDRは非対応だという。
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