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麻倉怜士がナビゲート 2017年、注目のオーディオはコレだ!(後編)(4/4 ページ)

» 2017年12月19日 06時00分 公開
[天野透ITmedia]
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――パソコンやゲーム機など、多くの電気製品に付属する周辺機器ですが、オーディオ機材のパッケージに付いてくるものであってもわりといい加減な交直変換をしているものが多いですよね。質の悪いUSB充電器なんて電池を傷めることさえありますし、実は秋葉原の電子パーツ店で“一山いくら”で売られているものと同じなんてケースがザラだったりします

「一山いくら」なACアダプターが氾濫する中で、オーディオに求められる徹底したノイズレベルを追求した12V用ACアダプター「GPC-DC12」

麻倉氏:紹介するGPC-D12の開発元であるボルトアンペアですが「伝説の電源レギュレーターメーカー、信濃電気の流れを汲むメーカー」と言えば、カンの良いオーディオファイラーはピンとくるでしょうか。何を隠そう、私のシアターでも信濃の名機「HSR-1000」を必需電源として25年以上使用しています。同社のAC電源レギュレーター「GPC-TQ」も評価が高いですね。

 音楽制作における高性能の小型USB-DACやオーディオインタフェースが近年増えていることを鑑み、それらの音質向上を目的としてGPC-D12は開発されました。こういった機器には一般的にDC12V電源が使われ、ACアダプターを外部電源として採用しています。ですが先程指摘があった通り、付属品のACアダプターというものはオーディオ的な品質が驚くほど低い。安全性を保証するPSEマークはだいたいちゃんと付いていますが、音質対策やノイズ対策は皆無と考えてだいたい間違いありません。なので、せっかく機器の音質が良くても、付属のACアダプターの段階で、クオリティーがガクッと下がるのです。

 そこで、信濃仕込みのクオリティマインドで新開発した高音質ACアダプターの登場というわけです。低ノイズ・高効率の安定化電源で定評のあるニプロン製AC-DCユニットを搭載したのが最大のセールスポイント。ニプロンはノイズが人命を左右する医療グレードの電源も数多く手がけるメーカーで、採用されたユニットはデータ通信会社で使用するサーバ製品の組み込み型電源です。オーディオ用のネットワークサーバ、大手オーディオメーカーのアンプ電源部などにも採用例があります。これに加えて、入出力双方にフェライトコアを追加する念の入れ方です。

麻倉氏と「GPC-DC12」。RME製品を取り扱うシンタックス・ジャパンでは、自社レーベルの収録時にはこのアダプターを欠かさないという

麻倉氏:試聴ではドイツ、RMEの「ADI-2 Pro」を使って、付属のACアダプターと比較しました。もうこれが天と地の差です。鈍く切れ味が悪い付属品に対して、GPC-DC12は圧倒的に透明感が高く、剛性もしっかりしています。低域から高域までのワイドレンジな再現性と、ディテールの確かな描写性という、ADI-2 Proが本来持っている実力をいかんなく発揮していました。そのインパクトたるや、輸入元のシンタックス・ジャパンがあまりのハイクオリティーさに驚き、独自レーベル「プレミアム・レコーディングス」でのADI-2 ProによるDSD 11.2MHz録音の際にはGPC-DC12を必須としているくらいです。

 私が愛用するExaSound「E32」の電源としても試してみましたが、ここでも当然のように付属ACアダプターより遙かに良く、ADI-2 Proの場合と同方向の変化が聴かれました。価格は5万2000円と、高級DACを新調することを考えればずっと低廉です。ACアダプターを使うオーディオ機器では“必須”と言って過言ではない高音質電源と言えるでしょう。

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