“AQUOS PHONE”で心機一転、海外展開にも注力――シャープのスマートフォン戦略:フィーチャーフォンと需要は同じ(2/2 ページ)
2010年度はスマートフォンを200万台出荷し、国内の携帯電話出荷台数が6年連続1位と好調のシャープ。同社は夏モデルでスマートフォンのブランドに「AQUOS PHONE」をかかげ、ハイエンドから新機軸まで、幅広いモデルを展開していく。
「TSUTAYA GALAPAGOS」も拡充
サービス連携については、シャープが同社のスマートフォン向けに書籍、雑誌、新聞コンテンツを配信している「TSUTAYA GALAPAGOS」を強化する。配信コンテンツ数は書籍が約2万6000件、雑誌が約200件、新聞が7件だが、「2011年度上期は5万コンテンツを目指す」と大畠氏は意気込む。「新聞は全国紙と地方紙をそろえて、どの場所からも読めるようにする。また、『もしドラ』をはじめ、動画をメインにしたコンテンツも配信していく」(大畠氏)。TSUTAYA GALAPAGOSを利用できるのは、現在のところシャープのスマートフォンやタブレット端末に限られるが、今後は「他社製のスマートフォンにも展開していく予定」だという。
なお、スマートフォンはAQUOS PHONEブランドに統一していくが、大畠氏によると、タブレットについては引き続き「GALAPAGOS」で展開するとのこと。
中国でも3D、AQUOS PHONEをグローバル展開する
海外展開もさらに注力していく。シャープは現在、中国市場に複数のスマートフォンを投入している。「SH-01B」をベースにした「SH7218U」(3680元)、背面に3インチの大きなメモリ液晶を搭載した「SH7228U」(3880元)は中国の点心OSを搭載している。いずれもフィーチャーフォン型の折りたたみ端末で、スタイルという意味では007SHを彷彿とさせる。
フルタッチ型のスマートフォンは、003SHベースの「SH8158U」(5480元)、500万画素のツインカメラを搭載した006SHベースの「SH8168U」(5980元)をラインアップ(ちなみに、iPhone 4は4999元)。OSはいずれもAndroid 2.2だが、YouTubeやGmailなどGoogleのサービスは利用できず、それらに代わる中国向けの動画配信サービスやSNSなどのアプリをプリセットしている。SH8158UとSH8168Uは3D液晶も備えており、今後はメーカーサイトで3Dコンテンツの配信も行う。大畠氏も「中国では3D液晶の受けがいい」と手応えを感じている。
2010年度のシャープの携帯電話の出荷台数は、国内が854万8000台、海外が119万3000台で、海外端末の比率は約12.2%。今後はインド、欧州、米国、ブラジルなど、中国以外の市場にも積極的に進出し、AQUOS PHONEをグローバル展開していく。大畠氏は「2011年はシャープのスマートフォンが国内で500万台を超える」とみているが、今後は海外展開にも本格的に取り組んでいく。AQUOS PHONEを1モデルに絞って投入するか、日本のように複数台そろえるかは「市場のニーズをふまえてこれから検討していく」とのこと。大畠氏によると、すでに米国のシリコンバレーに、マーケティングとセールスを含めた事務所を設立しているという。
2010年にLYNXやGALAPAGOSなどのスマートフォンブランドをシャープが立ち上げたことを考えると、今回は方向転換した形になり、2010年は試行錯誤の1年だったといえる。ともあれ、AQUOS PHONEのコンセプトが、シャープが培ってきたAQUOSブランドの強みを生かす上で有利に働くことは間違いない。国内、そして海外でAQUOS PHONEの認知をどこまで広げられるのか、注目したい。
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