携帯売場は玉石混交?――北京の電脳街「中関村」に行ってきた:ふぉーんなハナシ
5月の連休に中国を旅行したので、そのついでに携帯ショップを見てきた。中でも印象的だったのが、大型電気店が並ぶ「中関村」エリア。Apple、Samsung、LGなど人気メーカーの製品や、中国といえば……の怪しいケータイも多数見られた。
少し前になるが、5月のゴールデンウィークに中国の北京を旅行で訪れたので、北京の電脳街として有名な「中関村」に行ってきた。中関村は日本でいう秋葉原のような場所で、携帯電話やPC、デジタルカメラなどの電化製品を販売するさまざまなショップが並ぶ。携帯売場も多くを占めているというので、様子を見てきた。アクセスは、北京地下鉄4号線の中関村駅から。
中国の携帯マーケットといえば、既存ブランドを模倣した怪しいケータイ、いわゆる「山寨機(さんさいき)」が氾濫していることでも知られるが、もちろんメーカーが供給している正規品もちゃんと売られている。筆者が訪れたのは「中関村科貿電子城」というビルで、ここの1階ではほとんど正規品が販売されていた。ビルに入ってまず目を奪われたのが、Apple製品を扱うショップの多さ。5月上旬はちょうど「iPad 2」や「iPhone 4」ホワイトが中国でも発売されたばかりとあって、これらの製品や初代iPad、iPhone 3GSを推している店舗が多かった。ちなみに、iPad 2の価格は3988元(約4万9779円)。
中国ではChina UnicomがiPhoneを販売しているが、科貿電子城ではSIMフリー版も購入できる。SIMフリー版のiPhone 4は4999元(約6万2398円)。SIMロック版のiPhone 4は4080元(約5万927円)で、月額170元(約2121円)か月額226元(約2820円)の無料通話分が含まれるプランを選べるとのこと。iPhoneのSIMフリー版を国内の携帯ショップで購入できるのは、日本のユーザーにとっては羨ましいところだろう(日本では、日本通信がその手段を提供してはいるが)。また、科貿電子城ではSIMロックを解除してくれる店もあるとのこと。
Samsung電子やLGエレクトロニクスなど韓国勢の製品も人気を集めている。世界で1000万台以上が売れた「GALAXY S」は中国でも人気で、すでに在庫のない店舗もあったほどだ。China UnicomのSIMカードを利用できる「GALAXY Tab」も見られた。デジタルカメラやビデオカメラ、携帯電話など、Samsungのデジタルガジェット全般を扱う店もあった。LG製品の売場では、日本でのおなじみ「Optimus」シリーズのスマートフォンを推していた。HTC製品も人気で、店頭には「HTC ●(※「誘」と似ている漢字)惑」なる案内も見られた(「HTC Desire」のことだと思われる)。ちなみに、いろいろ質問をしていたら、店員から「韓国の業界関係者ですか?」と聞かれた。どうやら韓国から熱心な関係者が訪れることが多いようだ(SamsungとLG製品をよく売っていることと関係しているのかもしれない)。
日本メーカーでは、AQUOSケータイや3D対応スマートフォンなど、中国向けに積極的に端末を供給しているシャープを忘れてはいけない。科貿電子城の1階には、3インチのメモリ液晶を搭載した「SH7228U」の広告パネルが大々的に展示されており、同社の技術力が大きくアピールされているように感じた。SH7228Uのほか、5月20日の説明会でも展示されていた003SHベースの「SH8158U」、点心OS搭載の「SH7218U」なども売っていた。
科貿電子城の2階は、1階よりは空気感が濃密……とでも言おうか、正規品と山寨機の売場が混在しており、さまざまな店舗が所狭しと並んでいる。メーカー名が「MOROTORA」「SUMSANG」など、思わず「これ何て間違い探し?」と見入ってしまうような製品も少なくない。デザインはMotorolaやSamsungなど本家と似ているので、間違えて買ってしまう人もいるのだろう。それか、偽物だと分かっていながら「安ければいい」と割り切って買う人もいるのだろうか。また、昨年韓国の大型電気店「テクノマート」を訪れたときは、店員の客引きがものすごく、歩くだけで疲れてしまったが、科貿電子城の客引きはそれほどではなかった(と感じた)。
時間の都合で中関村の科貿電子城は1時間ほどしか回れなかったが、中国随一の電脳街のディープな世界を垣間見られた。次回訪れる機会があったら、半日ほどかけて回ってみたい。
山寨機は電脳街に留まらず、街中の携帯ショップでも当たり前のように売られている。今回の中国旅行では、西南部に位置する雲南省を観光したが、その道程で訪れた楚雄の繁華街でも多くの携帯ショップ、そして山寨機を目にした。前述のSUMSANGのほか、メーカーやブランド名が「SANSNUG」「SVMSUNC」「NCKIA」「NOKLA」「Scny Ericsscn」「Anycoll」「Amycoll」「Auycoll」「LC」のモデルや、ストレート型「VAIO」ケータイ(?)、見覚えがあるけど何かが違う「KIN」、果ては折りたたみ型「iPbone」やスライド型「iPnone」なる製品も見られた(※2つとも誤字ではありません)。iPhoneそっくりの山寨機が売られているというのはよく聞く話だが、姿形がiPhoneとまったく違うのに、iPhoneの名前をもじっただけの端末まであるとは……。まさに「何でもあり」な光景だった。
もちろん街中にも正規品を売っているショップはある。Sony Ericsson製品を扱っているショップでは、「Xperia arc」の中国版「LT15i」(5680元/約7万898円)や、Walkman Phone「W995」(2780元/約3万4700円)を売っていた。山寨機を売っているショップも、外観は「China Mobile」のロゴを使ったりと“それっぽい”ので、店に入ってみないと売り物までは分からない。街中で携帯ショップを見かけたら、とりあえず中に入ってみると面白い物(ネタ)を発見できるかもしれない。
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