レビュー

第1回 最強の全部入りは? 本当に“持ちやすい”機種は?――Android18機種を横並び比較最新スマートフォン徹底比較(2011年夏モデル編)(3/4 ページ)

この夏は、過去最大数となる20以上のAndroid搭載スマートフォンが発表、発売された。これだけの数だと、どれを選ぶべきか悩ましい。比較レビューの第1回では基本スペックを総ざらいしたほか、「持ち心地」を比べてみた。

ディスプレイ:Optimus brightは高輝度なだけじゃない

 最もディスプレイサイズが大きいのは、4.3インチのGALAXY S IIとP-07C/003P。次いでSH-12C、IS12SH、006SH、Xperia acroの4.2インチが続く。Xperia ray(3.3インチ)と007SH(3.4インチ)はこの中では小さく、小型サイズとのトレードオフとなっている。解像度はワイドVGA(480×800ピクセル)、フルワイドVGA(480×854ピクセル)、QHD(540×960ピクセル)の3種類に分けられ、シャープ端末のQHDが最も高精細だ。SH-12C、IS11SH、IS12SH、006SH、007SHは3D表示にも対応しており、液晶のスペックはAQUOS PHONEがリードしているといえる。

 海外メーカー勢での注目は、「GALAXY S」のスーパー有機ELがさらに高精細になったGALAXY S IIと、1平方メートルあたり最大700カンデラという高輝度を実現したIPS液晶を備えるOptimus bright。Xperia acroも高輝度・高精細なReality Displayや、液晶とガラスの空気層をなくすクリアブラックパネルにより、美しく表示できる。これら3機種に同じ写真を表示させて正面から見比べたところ、GALAXY S IIが最も高コントラストで鮮やかだと感じた。鮮やかすぎるので好みの分かれるところかもしれないが、写真や映像の表示に適しているといえる。広視野角も有機ELの得意とするところだが、斜めから見比べてみたところ、Optimus brightの方が果物の色が鮮やかだと感じた。Optimus brightのIPS液晶も広視野角という特性を持つので、複数人で写真や動画を見るといったときに威力を発揮する。

左からXperia acro、GALAXY S II、Optimus bright。コントラストの強さや鮮やかさではGALAXY S IIが秀でている印象だ(写真=左)。こちらは斜めから。GALAXY S IIとOptimus brightは正面からとほぼ同じように見やすいが、Xperia acroの画面は色が飛んでしまっている(写真=右)
ディスプレイ
ディスプレイ種類 サイズ 解像度 最大色数 3D表示
F-12C TFT液晶 約3.7インチ 480×800ピクセル 約1677万色
Optimus bright L-07C TFT液晶 約4.0インチ 480×800ピクセル 約26万色
MEDIAS WP N-06C TFT液晶 約4.0インチ 480×854ピクセル 約26万色
P-07C TFT液晶 約4.3インチ 480×854ピクセル 約26万色
GALAXY S II SC-02C 有機EL 約4.3インチ 480×800ピクセル 約1677万色
AQUOS PHONE SH-12C NEWモバイルASV液晶 約4.2インチ 540×960ピクセル 約26万色
AQUOS PHONE f SH-13C NEWモバイルASV液晶 約3.7インチ 540×960ピクセル 約26万色
Xperia acro SO-02C TFT液晶 約4.2インチ 480×854ピクセル 約1677万色
Xperia ray SO-03C TFT液晶 約3.3インチ 480×854ピクセル 約1677万色
INFOBAR A01 NEWモバイルASV液晶 約3.7インチ 540×960ピクセル 約26万色
G'zOne IS11CA TFT液晶 約3.6インチ 480×800ピクセル 約6万5000色
Xperia acro IS11S TFT液晶 約4.2インチ 480×854ピクセル 約1677万色
AQUOS PHONE IS11SH NEWモバイルASV液晶 約3.7インチ 540×960ピクセル 約26万色
AQUOS PHONE IS12SH NEWモバイルASV液晶 約4.2インチ 540×960ピクセル 約26万色
Sweety 003P TFT液晶 約4.3インチ 480×854ピクセル 約6万5000色
AQUOS PHONE 006SH NEWモバイルASV液晶 約4.2インチ 540×960ピクセル 約6万5000色
AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH NEWモバイルASV液晶 約3.4インチ 480×854ピクセル 約6万5000色
シンプルスマートフォン 008Z TFT液晶 約3.8インチ 480×800ピクセル 約6万5000色

バッテリー:シャープ、パナモバはこだわりの省エネ機能を搭載

 ディスプレイが大きく、点灯時間も長くなりがちなスマートフォンでは、バッテリーの持ちも気になるところ。新しいOSやチップセットにより、省電力性能も向上しつつあるが、それだけで劇的に消費電力を抑えられるわけではない。やはりバッテリーの容量は大きい方が望ましい。この中で最も大きいのがGALAXY S IIの1650mAh。その後にOptimus bright、Xperia acro、Xperia rayの1500mAh、F-12CとIS11CAの1460mAhが続く。

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 Xperia rayは小型ボディながらarc/acroと同等の1500mAhバッテリーを備えたのが見事。一方、007SHはこの中では最小の820mAhで、形だけでなくバッテリー容量もフィーチャーフォンと同様になっている。折りたたみ型の007SHは頻繁にディスプレイを閉じるので、フルタッチ形状のモデルよりはこまめに消灯できるとはいえ、スマートフォンとしては心もとない。その次に少ないのがINFOBAR A01の1020mAh。「IS03」と同じ数値なので不安がよぎるが、うまく省電力機能が働いているようで、1週間ほど試用したところ、IS03よりは十分持つと感じた。IS03はスリープ時の電力消費が多く、夜放置して朝起きたらバッテリー残量がゼロだったことがよくあったが、INFOBAR A01ではそのようなことは起きなかった。

 卓上ホルダに対応しているのはF-12C、MEDIAS WP、007SH。SH-13Cはスマートフォンでは世界初の無接点充電に対応しているのも注目ポイント。これら4機種は防水端末なので、同梱されている卓上ホルダやワイヤレスチャージャーを使えば端子カバーを開けずに充電でき、防水端末では致命的といえるカバーの損傷を防げる。卓上ホルダに付いている接続端子は、MEDIAS WPと007SHが3Gケータイ用の端子、F-12CがMicro USB端子となっている。IS11CAはこの中の防水端末で唯一卓上ホルダに対応しておらず、不満を感じる。

F-12C(写真=左)とMEDIAS WP(写真=右)は本体を立てかける形で卓上ホルダにセットする。MEDIAS WPは充電中もディスプレイが露出しているので、充電しながら閲覧、操作しやすい。F-12Cは充電中はディスプレイ下部が隠れてしまう
007SHは本体を横向きにして卓上ホルダにセットする。ビュワースタイルにすれば画面を露出した状態で充電できる(写真=左)。無接点充電対応のSH-13Cは、同梱のワイヤレスチャージャーに端末を置いて充電する(写真=右)

 少しでも消費電力を抑えられるよう、最近は省電力関連の設定やアプリを備えた機種も増えている。これらを活用することで、ディスプレイの輝度を下げる、Wi-FiやBluetoothをオフにするなどの設定を一括で行える。ドコモが同社のAndroidスマートフォン向けに提供している「ecoモード for Android」では、設定したバッテリー残量に下がると自動でecoモードに移行する。現在ecoモードに対応している機種は「Xperia arc SO-01C」、Optimus bright、GALAXY S II、Xperia acro SO-02C、Xperia ray、F-12C(今後も対応機種は拡大予定)。アプリは以下からダウンロードできる。

ドコモの一部機種で使える「ecoモード for Android」。バッテリー残量が設定した数値になると、自動的にオンにできる(写真=左端、左中)。GALAXY S IIは独自の「省電力モード」も備えている(写真=右中)。MEDIAS WPとIS11CAで利用できる「ecoモード」設定(写真=右端)

 シャープ製端末(INFOBAR A01も含む)は、一括で省エネ設定を行う「とにかく省エネ」と、設定した時刻にデータ通信や通知ランプの点滅などを無効にできる「おやすみ省エネ」機能を備えている。おやすみ省エネは他メーカー製品にはないユニークな機能。就寝前に充電しておけば問題ないが、充電し忘れることが多い(または面倒)という人は設定しておくといいだろう。

 P-07Cと003Pには、パナソニックの家電でもおなじみの省電力機能「エコナビ」が採用されている。設定したバッテリー残量に応じてecoモードに自動で切り替える機能はecoモードアプリと同じだが、あらかじめ設定したアプリをスリープ後に自動終了させることもできる。Androidではバックグラウンドで動作するアプリが多いのでありがたい。さらに、消費電力の大きいアプリを検知して通知する機能もある。エコナビはパナソニックの厳しい審査を経て搭載される機能なので、その効力はお墨付き。ぜひ活用したい。

シャープ製端末に搭載されている「とにかく省エネ」と「おやすみ省エネ」。おやすみ省エネでは省エネレベルを2段階から設定できる(写真=左端、左中)。P-07Cと003Pで利用できる「エコナビ」。設定したバッテリー残量になると、指定したアプリが自動で終了する(写真=右中、右端)
バッテリーと省電力機能
バッテリー容量 連続待受時間 連続通話時間 プリセットされている省電力設定/アプリ
F-12C 1460mAh 3G:約450時間、GSM:約290時間 3G:約320分、GSM:約350分 ecoモード(アプリ)
Optimus bright L-07C 1500mAh 3G:約340時間、GSM:約290時間 3G:約300分、GSM:約330分 ecoモード(アプリ)
MEDIAS WP N-06C 1230mAh 3G:約340時間、GSM:約220時間 3G:約250分、GSM:約250分 ecoモード(設定)
P-07C 1400mAh 3G:約400時間、GSM:約240時間 3G:約240分、GSM:約330分 エコナビ(アプリ)
GALAXY S II SC-02C 1650mAh 3G:約640時間、GSM:約480時間 3G:約430分、GSM:約450分 省電力モード(設定)、ecoモード(アプリ)
AQUOS PHONE SH-12C 1240mAh 3G:約430時間、GSM:約300時間 3G:約280分、GSM:約310分 とにかく省エネ/おやすみ省エネ(設定)
AQUOS PHONE f SH-13C 1230mAh 3G:約500時間、GSM:約400時間 3G:約280分、GSM:約310分 とにかく省エネ/おやすみ省エネ(設定)
Xperia acro SO-02C 1500mAh 3G:約400時間、GSM:約260時間 3G:約350分、GSM:約390分 ecoモード(アプリ)
Xperia ray SO-03C 1500mAh 3G:約400時間、GSM:約290時間 3G:約360分、GSM:約380分 ecoモード(アプリ)
INFOBAR A01 1020mAh 国内:約220時間 国内:約330分 とにかく省エネ/おやすみ省エネ(設定)
G'zOne IS11CA 1460mAh 国内:約240時間 国内:約450分 ecoモード(設定)
Xperia acro IS11S 1500mAh 国内:約290時間 国内:約480分
AQUOS PHONE IS11SH 1030mAh 国内:約230時間 国内:約400分 とにかく省エネ/おやすみ省エネ(設定)
AQUOS PHONE IS12SH 1240mAh 国内:約480時間 国内:約280分 とにかく省エネ/おやすみ省エネ(設定)
Sweety 003P 1400mAh 3G:約470時間、GSM:約390時間 3G:約270分、GSM:約270分 エコナビ(アプリ)
AQUOS PHONE 006SH 1240mAh 3G:約450時間、GSM:約350時間 3G:約370分、GSM:約350分 とにかく省エネ/おやすみ省エネ(設定)
AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH 820mAh 3G:約300時間、GSM:約240時間 3G:約230分、GSM:約230分 とにかく省エネ/おやすみ省エネ(設定)
シンプルスマートフォン 008Z 1500mAh 3G:約450時間、GSM:約300時間 3G:約550分、GSM:約300分
※スペックは2011年8月26日時点のもの。

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