パナソニックモバイルも〜Linux携帯の狙いとは

» 2004年02月10日 23時59分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 携帯電話のOSが大きく変わろうとしている。これまで国内・海外共にリアルタイムOSが中心だった。ところが機能の増加に伴って、「Symbian OS」や「Linux」、Microsoftの「Smartphone」などの汎用OSが注目を浴びている。

 パナソニック モバイルコミュニケーションズも、リアルタイムOS1本から汎用OSまで手がけようとしているうちの1社だ。技術本部モバイルソフトウェアソリューションセンターの戸倉毅所長は、「リアルタイムOSとして使っているマイクロiTRONは徐々にフェードアウト。LinuxとSymbian、サードパーティ製のリアルタイムOSを今後考えている」と話した。

多機能端末はLinuxで

 FOMAに代表されるような多機能端末は、将来的にLinux OSに移行する。「強力なメモリ管理機能やツールの豊富さがメリット」だと戸倉氏。

 Linuxへの移行には、パナソニックモバイルが3G端末のプラットフォームを共同で開発しているNECの意向もあるだろう。NECは早くから携帯OSとしてLinuxに着目しており、開発を進めている。ドコモも昨年12月にFOMA向けLinuxの仕様を策定するなど(2003年12月の記事参照)、準備は進んでいる。

 Symbian OSは「手をかけずに搭載できる」のがポイントだという。Series 60インタフェースを使うことで、OS上のアプリケーションも独自に開発する必要がない。パナソニックモバイルは英Symbianに出資もしており(2月10日の記事参照)、2004年度にはSymbian OS搭載のGSM端末を投入する予定だ。

 GSM端末の普及機は、「サードパーティ製のリアルタイムOS」を使ってコストを圧縮する。

ソフトウェア開発が携帯の売れ行きを左右する

 各社が携帯のOSに躍起になるのも、ソフトウェア開発が“携帯の売れ行き”を左右するからだ。

 パナソニックモバイルが“商品の基本”として挙げたのは、品質とコスト、そして販売タイミング。そしてソフトウェア開発は、この3つに直結する。

 品質に決定的な意味を持つのはソフトウェアのバグだ。ないのが当たり前……のバグだが、同社も何度かソフトウェアのバグで回収を行っているように、バグを出しにくい環境作りは重要。

 現在、携帯電話の開発コストは「半分以上がソフトウェア開発」(3G開発推進担当の脇治取締役)という状況。200万ステップという「Windows 95並み」(同氏)にまで多機能化したソフトウェアは、開発費のうち相当を占める。

 販売タイミングを左右するのもソフトウェアだ。携帯の開発がスタートしてから発売まで、同社の場合は約10カ月。2〜3カ月で設計を行い、2〜3カ月でコーディング、最後の2〜3カ月でテストを行う。バグが予想より多く出れば、それだけ発売は遅れる。結果、「予定していた機種が、予定通り出せず遅れていく。機会損失が大きい」(桂靖雄社長)ということにつながる。

 昨今、通信部とアプリケーション部を切り分けるツインCPU構成も、バグの減少に大きく貢献する。「P505iから2CPU構成にしたら、バグの出方が少なかった」(戸倉氏)

 戸倉氏は「最初に設計仕様を固定できるかどうか」が重要だと話す。革新的な多くの機能を盛り込み、開発中であっても仕様変更を求める企画側と、バグを出さずに早期に開発するために仕様変更を嫌がる開発側のせめぎ合いは、どのメーカーでも見られるものだ。

 Linuxなどの汎用OSを使うことで、開発速度が上がるだけでなく、メモリ管理が強力なため、アプリケーションが利用するメモリ領域の重複など、バグの原因を減らすことが可能になるという。

Linux OSの課題は?

 Linux OS搭載は年末移行になりそうだが、現時点での課題は何なのか。米Motorolaは世界初のLinux採用端末を投入しているが、電源を入れた際に起動に1分近くかかる(2003年3月の記事参照)。パナソニックモバイルでは既に10数秒まで起動時間を縮めたという。

 残る問題は「タスク構造」だと戸倉氏。割り込みを前提としているリアルタイムOSでは、例えばメール作成時に着信があっても、最優先で着信動作を行う。携帯にLinuxを使うには、割り込み処理の工夫がまだ必要になる。

 そして省電力化も残る課題の1つ。ただし、これまでのリアルタイムOSのチューニング経験から、Linuxも調整を進めているという。

 OSはLinuxに変わっていくが、あくまでユーザーには違いが分からないようにする方針だ。リアルタイムOSと変わらぬ使い勝手のまま、いかに開発を容易にするか。そこにLinuxの狙いがある。

ソフト開発〜一番大変なのは“Java”

 戸倉氏は、ソフト開発で最もたいへんなのは“Java”だという。「みんなJava(の開発)はバーチャルマシン(VM)だと思っているが違う。VMで終わりではなく、他の機能と連携するJavaの機能が問題」

 ドコモでいえば、Javaからカメラや赤外線を利用できるようになったのに続き、春には非接触ICチップも制御しなくてはならない。バーチャルマシンからハードウェアを制御できるよう穴を開けなくてはいけない上、セキュリティにも細心の注意が必要になる。


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