携帯電話はこれまで、人と人、人と情報をつなぐ道具として発展してきた。これを“モノとつなぐ”に進化させる装置の試作機をドコモが開発した。
FOMAのテレビ電話を使って、外出先から自宅のクーラーや照明をオンにしたり、ペットにえさをやったり、録画予約をしたり──といった世界を現実にするものだ。
披露された「FOMA対応ビジュアルコントローラ」は、FOMAカードを差して利用する装置。35万画素のカメラやUSBポート、赤外線ポート、人感センサ、映像・音声出入力端子が装備されている。
外出先のFOMAからコントローラ側のFOMAにテレビ電話して端末画面上のリモコンを操作すると、一緒に送られたプッシュ信号がリモコン制御用の信号に変換される。コントローラの赤外線ポートからは家電に赤外線信号が送られ、これにより外から家電を操作できる。
またコントローラに装備されたUSBポートでPCと接続すれば、PC上のソフトをFOMAで遠隔操作することも可能。「これまでブロードバンド環境のPCでしか使えなかったソリューションを携帯電話でも利用可能になる」(MM技術部 インターネット端末開発担当課長 入鹿山剛堂氏)。
今回披露されたのは、ユーザーの利用シーンや用途を探るための試作機で、製品化の時期などは決まっていない。さまざまな利用シーンが想定できること、現状では一見して何をするための商品かが分かりにくいことから、まずはモニターに使ってもらって製品の方向性を検討する計画だ。
コントローラの試作機に接続できるのは、「F2402」「P2402」のテレビ電話対応FOMAデータカード。遠隔操作に対応するFOMAは「N2102V」「F2102V」「N900i」「F900i」「P900i」「SH900i」(2004年3月30日現在)。
FOMA対応ビジュアルコントローラは、2003年のCEATECや、今年の3月に開催されたケータイ国際フォーラムに参考出展されていた。
これらのイベントで提案されていたのは、FOMAとコントローラを連携させて、赤外線対応の家電を出先から操作するもの。アナログテレビチューナが内蔵されていないFOMAで外出先からテレビを閲覧したり、ビデオの録画操作を行ったりという用途は当時から注目を集めていた。
今回のデモでは新たに、赤外線対応のエアコンや照明のオン・オフ、カーテンの開閉などに加え、AOSテクノロジーズが開発中のペット給餌機も披露された。
コントローラの赤外線は学習機能を備えており、たいていの赤外線対応家電を操作できるという。操作は[1]から[0]までのキーに割り当てられ、それを10種類登録可能だ。
また、新たな用途として挙げられたのは、ホームセキュリティやPC連携だ。
ホームセキュリティは、コントローラに内蔵された人感センサとFOMAとの連携による機能。留守宅で人感センサが反応したら、コントローラのFOMAから外出先のFOMAにテレビ電話がかかり、家の様子の確認ができるというものだ。「侵入者を確認したら、出先のFOMAからリモコン操作で電気をつけたり、コントローラにつないだスピーカーから音を出して、侵入者を驚かせることもできる」(説明員)
また、カメラ付きインターフォンとコントローラを連携させれば、外出先のFOMAから、あたかも家のインターフォンに出ているような応対も可能だという。「インターフォンが鳴ると、コントローラ側のFOMAが外出先のFOMAにテレビ電話をかける。あとは在宅中と同じようにFOMAからテレビ電話で来訪者への受け答えができる」(説明員)
PC連携は、コントローラとPCをUSBでつなぐことで、PC上のソフトをFOMAでコントロール可能にするものだ。デモでは、FOMAからテレビ電話でPC内にインストールされているソニーのペットロボット「AIBO」や、ZMPのロボット「nuvo」のコントロールソフトを操作し、ロボットのカメラが捉える部屋の中の様子を見ながらロボットを操作することができた。
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