作品名 | ヴェロニカ・ゲリン(Veronica Guerin) |
監督 | ジョエル・シュマッカー |
制作年・製作国 | 2003年アメリカ作品 |
実在したアイルランドの女性新聞記者、ヴェロニカ・ゲリン。彼女は、日々いくつものニュースを執筆しながら、本当に伝えたいことは別にあると考えていました。
それは社会の不正をただすような記事。ある時、街角で幼い子供が使い古しの注射器で遊んでいる姿を見て、ヴェロニカはダブリンの麻薬問題を掘り下げた記事を書く決意をします。麻薬売買で富を得る犯罪者の影には、麻薬漬けにされ命を落とす子供たちがいました。ヴェロニカは一児の母として、多くの子供が麻薬に侵されていく現状を無視できなかったのです。
新聞社の上司には危険すぎると反対されましたが、ヴェロニカは単独での取材を決意。夫のグレアムと息子のカハルはそんなヴェロニカを応援していました。
以前、情報屋として協力をしてくれたトレイナーと接触し、ヴェロニカは麻薬組織の首謀者を調べようとします。ほかのことなら口を割るトレイナーも、麻薬のこととなると態度が豹変。ヴェロニカは、その背後に大物がいることを確信します。
「24時間待って。すごいネタの予感」
ケータイ片手に非常に危険な場所へ足を踏み入れ、ヴェロニカは麻薬組織の実態を洗い出していきます。そこで知ったのは、麻薬組織の対立の構図。ヴェロニカはさっそくそれを記事にします。
すると途端に、ヴェロニカに対する嫌がらせが始まりました。最初は脅しに過ぎないと強気のヴェロニカでしたが、夫と子供のいる自宅に銃弾が打ち込まれると、さすがに恐怖をおぼえました。しかし深入りしないよう警告されるということは、それだけヴェロニカの記事が真実に迫っていた証拠。ヴェロニカは、麻薬密売組織の首謀者を明らかにするまで、後には引けないと覚悟を決めます。
脅しにも屈さず、執拗に取材を続けるヴェロニカに、とうとう麻薬組織は銃口をつきつけます。麻薬密売の全容を暴く記事を書き終わり、晴れやかな気持ちで車の中から家族に電話するヴェロニカ。
「ママ、元気?」
「いつでも携帯に電話して」
新聞社の上司や、なじみの警察官にも電話をかけます。しかし、つかの間の休息を断ち切るように、携帯電話越しに響いた銃声と悲鳴。
1996年6月26日、この日を境にヴェロニカの勇気が、アイルランドの人々の正義を呼び起こし、麻薬撲滅の動きが広がっていったのです。立ち上がった国や市民の力で法律が改正され、麻薬は厳しく取り締まられるようになりました。ヴェロニカ・ゲリンの物語は、ひとりの女性の信念や生き様が社会を変える力を持つことを教えてくれます。
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