ドコモが投入し、KDDIも後を追うと見込まれるFeliCa内蔵携帯。出だしは順調とはいえないが、「間違いなく普及する」と、mobidec 2004で講演したケイ・ラボラトリーの真田哲弥社長。
ただし、そのためには3つの条件があるという。
「ニワトリと卵のジレンマ──およそプラットフォームと呼ばれるものは、この呪縛に囚われる」
FeliCa携帯が普及するには、FeliCaを活用した店舗などのサービスが必要。しかしサービスはFeliCa携帯が普及しなければ発展しない。当然のようにここにジレンマが存在する。
しかしこと日本の携帯に関しては、あまり問題にならないだろう。「キャリアが標準バンドルだといえば、端末メーカーは競ってFeliCaを載せてくる。黙っていても数年後には数千万台がFeliCa対応に置き換わる」(真田氏)からだ。
現在でもFeliCa機能が使いたくて“iCシリーズ”を買う人は皆無だろうが、「知らずに買ったら(FeliCaが)付いてきた。これはほかのプラットフォームにはあり得ないこと。気が付いたら“ビデオデッキが家にあった”というようなものだ」。
ただしFeliCa携帯の普及を待っていたら、店舗などでのサービスの立ち上がりは遅くなる。FeliCa携帯の場合、カード型との併用がカギになると真田氏は説く。「FeliCa携帯を持っていない人がいても、カード型FeliCaを併用することで全員にサービスが提供できる」。
「ドコモにも何度も言ったが、聞き入れてもらえない」──真田氏がそうこぼすのは、現在のiモードFeliCaの“面倒くささ”に関することだ。
どんなサービスでも、面倒くさいと思われたら使われない。これまでのリアル連携でも、赤外線(Ir)がそうだ。利用するのにメニューをたどったり、アプリを立ち上げる必要があった。
現在のiモードFeliCaでも、似たような問題がある。利用するのはタッチだけでOKだが、FeliCaのサービス──新しいポイントカードなどを登録するのは面倒だ。「(最初の登録時に)サイトにアクセスしてアプリをダウンロードしなくてはならないこと。何よりの弱点だ」(真田氏)。
「いきなりサイフだと言われると不安でしょう」。真田氏は、FeliCaのセキュリティは大変に高いとしながらも、ユーザーの心理的な抵抗感として、“サイフ”という言葉に懸念を示す。
初期の段階では、「もっとお気軽な用途の実現が必要」だと真田氏。その1つの例として、自社のお気軽用途のソリューション「ポスタッチ」を披露した。
ポスタッチは、「フェリポ」という名称で以前発表されたFeliCaのリーダー/ライター内蔵ポスターのこと(7月22日の記事参照)。FeliCa携帯をポスターにかざすと、ポスターのより詳しい情報が携帯に表示される。「ユーザーがどういう人か登録してあれば、1つのポスターで、その人にあったもの、また天候や場所に応じた情報を提供できる」(真田氏)。
さらにGPS連動のサービスも予定している。例えば電車内のポスターにポスタッチを使い、ユーザーがタッチした場所をGPSで測位。「新宿近辺でタッチすると新宿の店舗が案内され、東京近辺なら八重洲付近など場所に応じた情報が表示される」仕組みを考えているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.