野辺名氏は、本の売れる売れないは“どこで、どう売るか”にもよるのだと強調する。「文庫で売れなかったものが、コンビニに置いておくと売れたりする。ざら紙のマンガを、価格を落としてコンビニに置いたら成功した。あれなどいい例だ」。
野辺名氏は、携帯でのダウンロード販売でも似た発想が求められると考えているようだ。ネット発のものが好評を博すなど、携帯のダウンロードでは携帯なりのラインアップがあるとの見方を示す。
それでは、今後も多くの「ネット発コンテンツ」が電子書籍化されてヒットするのか。たとえば、今から数カ月ほど前にWeb上で大いに話題を集めた「電車男の物語」がある。電車内で女性と出会った男性が、2ちゃんねるで進捗状況を報告しながらついに恋愛を成就させるというストーリーだ。
だが、この質問に中川氏は「そうそう、すべてのコンテンツが上手くいくものではない」とクギを刺す。
「本当に面白いのか、一過性のものでなく、時間が経っても読まれ続けるのか。市場もまだまだ小さい」。バジリコとしても、ネット本にばかり注力するのでなく、“作家本”や“翻訳本”も含めトータルで作品を揃えていきたいと話す。
とはいえ、電子書籍の市場が大きくなることは各方面で予想されていること。出版業界でも、「Deep Love『アユの物語』」という携帯発のダウンロードコンテンツが大ヒットして以来、この分野がビジネスになるとの意識が浸透しつつあるという。
野辺名氏は、「関心は高まっている。これからも(ネットから)拾い上げていく動きはあるだろう」と話す。その上で野辺名氏は、ホームページを制作している人間は、著作権の処理についても関心をはらってほしいと要望する。
あなたのホームページも、電子書籍になるかもしれないのだから――。
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