KDDI、基本料金1575円の固定電話「メタルプラス」

» 2004年09月15日 17時32分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 KDDIは9月15日、月額基本料金を1575円に抑えた固定電話サービス「メタルプラス」を提供すると発表した。加入者線にNTT東西地域会社のメタル回線(ドライカッパ)を使用し、その先は自社のIP網を使う直収型で料金を抑える。

 同社は光ファイバーを使い、高速データ通信や電話が行えるサービス「光プラス」をサービスしているが、こうした高機能サービスを必要としないユーザーがメタルプラスのターゲットとなる。

 「2000万世帯以上のユーザーが電話のみの利用。こうしたブロードバンドを必要としないユーザーに、固定網のIP化を行い低廉なサービスを提供するのが、KDDIの責務であろう」(KDDIの小野寺正社長)

 加入者数によって決まる級局別の基本料金設定ではなく、一律料金を設定。都市部では、NTT東西やソフトバンクの「おとくライン」よりも安価となる。プッシュホンの使用料も無料とした。

サービス メタルプラス おとくライン NTT加入電話
提供元 KDDI ソフトバンク NTT東西
基本料:3級局 1575円 1627.5円 1837.5円
基本料:2級局 1575円 1470円 1680円
基本料:1級局 1575円 1417.5円 1522.5円
家庭用直収型固定電話サービス基本料金比較。NTT加入電話などでは市内加入者の数によって級局が異なる。40万人以上で3級局となり、都市部が割高になっていた

 電話加入権は不要で、NTTとの契約も不要。工事はNTT局舎内のみとなり、家庭内は従来の電話機と回線をそのまま利用できる。従来の電話番号を引き継ぐことができ、110番、119番などの緊急通報も利用できる。ISDNサービスは用意しないが、「ADSLやダイヤルアップは提供できるよう考えている」(小野寺氏)。

 通話料は、市内が3分8円、市外が3分15円。別途、基本料金が2520円で通話料が全国一律3分8円となる企業向けプランも用意する。基本料のほか、開通工事費として開通後60カ月間、月額105円が必要。

 2004年12月から受付を始め、2005年2月にサービスを開始する。当初のエリアは東名阪地域。順次エリアを拡大し、2005年度早期に人口カバー率60%以上を目指す。最終的な人工カバー率は検討中としている。「経済性を考えた上で、できるだけエリアを広げたい。KDDIのマイラインユーザーの多いところを優先する」(小野寺氏)

 ソフトバンクに続いて低価格な固定電話サービスを打ち出したKDDIだが、料金面で争うつもりはないと強調。「過当競争をやるつもりはない。コストに基づいて利益が出る設定をする」と小野寺氏は話した。

「世界に先駆け」固定電話網をIP化

 併せて、KDDIは固定電話網のIP化を、2007年度末を目処に行う。「(英)BTよりも1年早くできるだろう。世界に先駆けたIP電話になる」(小野寺氏)。

 光ファイバーを使った「光プラス電話」で利用しているIP網「CDN」を拡張し、既存の固定電話網を交換機からソフトスイッチに置き換える。これにより、交換機を入れ替えるのに比べて投資コストが半減し、NTT東西網への依存も減少する。設備投資額は合計で400億〜600億円程度だとした。

 メタルプラスでも、NTT局舎内に新開発のアナログ・IP変換処理装置NGW(Network Gateway)を設置し、CDN網に接続する。

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