何を持って勢いのあるキャリアというのかは難しいが、指標の1つは、毎月の契約者数の伸びだ。このいわゆる純増数で、ドコモはauに負け続けている。
2003年10月から2004年5月にかけて、8カ月連続で月間純増数トップはau。6月、7月は僅差でドコモがトップを奪回したものの、8月、9月は再び2位に転落した(10月7日の記事参照)。
この数字がauの好調を表している──という見方が、世間では一般的。しかしドコモの中村維夫社長の見方は少々違う。キーワードは“解約率”だ。
「昔は解約が少しあって、新規が多いところがトップだった。新規契約は、いつも50%くらい取っているが、今はその絶対数が減っている」
9月の社長会見で中村氏はこう話した。新規契約の多さで見たら、ドコモはauを上回っている。しかし、それ以上に解約が多いため、純増では負けてしまう──そんな理屈だ。
現在の携帯電話契約は、1カ月で1%以上の解約がある。数字に直せば、ドコモで月間50万程度、auでも25万程度に当たる。純増数は10万〜20万程度にすぎないから、解約数が純増の多寡を左右することが分かる。
キャリア | 解約率(月) | 推定平均解約数(月) | 推定加入者数 | 純増数 |
---|---|---|---|---|
ドコモ | 1.1% | 51万1500 | 67万1000 | 16万 |
au | 1.49% | 26万4000 | 46万9000 | 20万5000 |
中村氏は、「(ドコモは)解約率自体は小さいが、母体が大きいため、解約数は多くなってしまう」と説明する。解約率で見れば、ドコモは約1.1%とauよりも良好。しかしauの2倍以上の現契約者を抱えるため、実解約者数ではauを上回るわけだ。
とはいえ、この理屈ではシェアトップの企業が必ず純増数で大幅に不利になることになる。実際には、大規模な売上やそれに伴う多額の純利益など、トップ企業の優位性はあるはず。中村氏のコメントは「auがドコモを上回る好調」という事実を覆い隠そうとしているようにも思われる。純増数で負けるということは、成長率でいえばauの半分にも満たない。こればかりは動かしようがない事実だ。
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