KDDIが考える「着うたフル」の勝算(2/5 ページ)

» 2004年11月18日 21時12分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 ひとつは「データ通信ARPUの向上」だ。データ通信ARPUは、KDDI自身が始めたパケット料金定額制「EZフラット」によって上限ができてしまい、右肩あがりの上昇が期待できない“フタをされた状況”にある。

 高橋氏も、定額制が始まった当初はデータ通信ARPUを上げるためのコンテンツ作りが一段落すると考えたという。しかし、ドコモのパケット料金定額制「パケ・ホーダイ」が予想以上に早く投入され、その対抗としてKDDIが「ダブル定額」を始めたことで状況が変わってきた(6月16日の記事参照)。

 「ダブル定額は定額制の最低料金を(月額2100円と)安くすることで定額制の裾野を広げるものです。同時にコンテンツ部門にとっては、お客様が満足するコンテンツを豊富に用意して、(月額4410円の)上限までデータ通信ARPUをひっぱり上げるミッションが生まれました」(高橋氏)

 パケット料金定額制の導入によって、パケット通信をたくさん行うユーザーのデータ通信ARPU向上は見込めなくなった。しかしダブル定額は、これまで定額制サービスまでは必要としなかったミドルユーザーまでもが対象。コンテンツ利用意欲を喚起し、ダブル定額の上限金額まで“底上げ”するのが新たな目標になったというわけだ。

 「再生時間が限られる『着うた』よりも、1曲まるまるダウンロード購入できる『着うたフル』のほうが、サービスとして分かりやすいですし、より広い層のお客様の関心を惹きやすい。その点で多くのお客様のデータ通信ARPUを向上させるのに適しています」(高橋氏)

 そして、もうひとつの着うたフルへの期待は、「auブランドの向上」である。

 auは着うた投入時から「音楽のau」というブランドイメージを育んできた。今回の着うたフル発表時には、新たに「感動ケータイ」というフレーズを使い、先進的で感度の高いブランドになると宣言した。

 「着うたフルにとって、auのブランド力を形成する、という役割は非常に大きい。実はデータ通信ARPUの増大というのは、(auブランド力の向上の)結果としてついてくるものだと考えています。その点でいえば、au design projectと着うたフルは、お客様の生活シーンに密着した形でauのブランド力を向上させるものとして、同じ役割を担ってます」(高橋氏)

 圧倒的シェアを持つドコモに挑戦するauにとって、独自のブランド力を持つことは重要だ。さらに「着うたフルはCDMA 1X WINの(高効率・高速なデータ通信)インフラとダブル定額があってこそのサービス。他社が容易にマネできないのも強み」(高橋氏)だ。技術力のアピールという側面もある。

 かつてのソニー「ウォークマン」や、最近ではアップルコンピューターの「iPod」などのように、音楽分野での先進的な取り組みは、成功すればブランドイメージの洗練と拡大に大きく寄与する。KDDIも同様の効果を、着うたフルで狙っている。

着うたフルの勝算はどこにある?

 しかし、冒頭でも触れたとおり、日本では音楽配信の成功例は未だ存在しない。「ケータイ音楽」の試みでいえば、KDDIはかつてシリコンオーディオプレーヤー機能内蔵の「C404S DIVA」を発売したものの、泣かず飛ばずの一代かぎりで終わった過去もある。

 着うたフルによるケータイ音楽は、どこに勝算があるのだろうか。

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