KDDIが考える「着うたフル」の勝算(3/5 ページ)

» 2004年11月18日 21時12分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 「(着うたフルの成功にとって)重要なのはバランスです。DIVAを出したときは、バランスと利用シーンの提案が不十分でした。音楽に極めて高い感度を示す一部のユーザーは飛びついてくれたのですが、多くのユーザーには広まらなかった」(高橋氏)

 一般ユーザーに広まらなかった最大の理由が、携帯電話による音楽CDからのリッピングが受け入れられなかったからだという。

 「DIVAの失敗から、ケータイで音楽を楽しむ環境には(楽曲のダウンロードが必須なので)定額制は絶対だと確信しました。さらにデータサイズを1曲あたり1.5Mバイトくらいにしないと、インフラに与える負担が問題視されて、完全ダウンロード販売のモデルが作れない。1.5Mバイトの容量で十分な音質を実現できるHE-AACが必要でした」(高橋氏)

 KDDIとしては、1曲30〜40秒程度でダウンロードできて、MDプレーヤー程度の音質が実現できることが、携帯電話の音楽配信がユーザーに受け入れられるバランスラインだと考えているという。

 また音楽配信ではレコード会社などコンテンツホルダーの協力が欠かせない。しかし音楽CD流通に対する負の影響を懸念し、音楽配信に消極的な考えを持つレコード会社も少なくない。成功した着うたにしても、「あれは音楽配信ではなく、お金の取れるプロモーション活動。だから(レコード会社も)協力する」(中堅レコード会社幹部)という実情がある(2002年12月10日の記事参照)

 豊富な楽曲ラインナップを揃えるには、着うたフルを音楽流通ビジネスの中で、どこに位置づけるのかという問題がある。

 「我々の本音でいえば、音楽市場のメインマーケットであるアルバムCD販売につながるツールとして、(音楽業界に)着うたフルを活用していただきたいと考えています。着うたフルは音楽販売チャンネルと同時にプロモーションツールでもある、という二面性を持っています。この点をレコード会社に理解してもらえれば、音楽業界とWin-Winの関係が築けます」(高橋氏)

 この「Win-Winモデル」を実現するために、着うたフルはさまざまな工夫をしている。

 着うたフル開始に併せてスタートした音楽ポータルサイト「EZ MUSIC!」では音楽CD販売サイトにもリンクしており、そこでは音楽CDをauの代金代行徴収システムで購入できる。これにより若年層などクレジットカードを持たないユーザーも、着うたフルから音楽CDのオンライン購入までシームレスに誘導することが可能になる。またEZ MUSIC!ではユーザーの嗜好に合わせたリコメンド機能が検討されている。将来的には新曲のプロモーションでEZチャンネルなど他のコンテンツサービスと連携する可能性もあるという。

 また、着うたフルのDRM機能では再生期間や再生回数の設定が可能であり(2002年1月28日の記事参照)、これを効果的に使えば、音楽CDのプロモーション目的の着うたフルをユーザーに提供することも可能だ。

 着うたの成功もあり、着うたフルではサービス開始当初から約1万曲の楽曲ラインナップが用意される。「多少の温度差はあれど、着うたを提供しているレコード会社は着うたフルにも協力してくれる」(高橋氏)という。

 ユーザーにはサービスのバランス、レコード会社には新たなWin-Winビジネスモデルの提案。このふたつの両立が、KDDIが考える着うたフルの勝算だといえる。

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